2011 Fiscal Year Annual Research Report
配位高分子ナノ結晶の表面配位不飽和サイトを活用した界面イオン伝導の探索
Project/Area Number |
21550055
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 教授 (50292826)
|
Keywords | 配位高分子 / ナノ結晶 / 固体イオン伝導 / 配位空間 / プルシアンブルー / 表面修飾 / ゼータ電位 / 界面 |
Research Abstract |
固体イオン伝導は、ゼオライトなどの結晶空孔、ナフィオンなどの高分子柔軟空間、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの格子欠陥を介した3つの伝導経路を中心に研究が展開されている。本研究では固体でありながらその大きな結晶表面を特徴とするナノ結晶に着目した。ナノ結晶が集合(圧着あるいは規則配列)した薄膜を固体材料として取り扱い、ナノ結晶間(界面)で構築される通路を目的イオンが次々と伝搬していく、新しいタイプのイオン伝導、"ナノ界面イオン伝導"の探索・構築をその主たる研究目的とした。配位高分子であるプルシアンブルー(PB)はシアノイオンと鉄イオンで構成され、10mm以下のナノ結晶であれば、結晶表面に露出した配位不飽和サイト(=内部の連続した配位結合が切断されているサイト)の数は、全体の15%以上に及ぶ。本研究では、PBの結晶内部の配位空間にセシウムイオンをサイズ選択的に取り込む性質を利用し、セシウムイオン吸着量を系統的に制御したPBナノナノ結晶を作製し、そのナノ結晶固体圧着膜の表面に金ペーストで電極形成、金線を介して交流インピーダンス測定によりそのイオン伝導性を評価した。PBには鉄イオンの内部欠陥を有するタイプと欠陥を有しない完全結晶の2種類がある。本研究で扱う内部欠陥含有結晶では完全結晶に比べ、セシウムイオンの吸着能力が極めて大きいことが分かった。その固体圧着膜のイオン伝導では、セシウムイオンを飽和吸着させた場合、高い湿度依存性を示し、相対湿度90%の条件下において、温度80~100℃で10-2~1σlScnゴ1と極めて高いプロトン伝導性を示した。この高いイオン伝導性の発現は、内部空間でのセシウムイオン水和水とナノ結晶界面に存在する配位水(結晶表面の配位不飽和サイトに結合している水分子)を介した新しいプロトン伝導パスが構成されたためだと考えられる。
|
Research Products
(5 results)