2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子三脚の秩序配列に基づく長寿命三重項カルベン単分子膜の開発
Project/Area Number |
21550132
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 敏一 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 克幸 三重大学, 生命科学研究支援センター, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301241)
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Keywords | 三重項カルベン / 分子三脚 / 自己組織化単分子膜 / ジアゾメタン / 光反応 / サイクリックボルタンメトリー / 還元的脱離 / フェロセン |
Research Abstract |
三重項カルベンは最も安定化が困難な有機活性種の一つであり、その安定単離はまだ実現されていない。本研究では、三重項カルベンを剛直な「分子三脚」を用いてAu基板表面に自己組織化単分子膜として固定することにより長寿命化し、超安定カルベンを実現することを目的としている。本年度は、昨年合成した分子三脚-ジアリールジアゾメタン連結分子の単分子膜を作製し、その基本特性を明らかにするとともに、光照射による膜上でのカルベン発生を検討した。 1)連結分子の脚の先端にあるSH基をAu(111)基板に吸着させることにより、自己組織化単分子膜を作製した。この基板を作用電極とするサイクリックボルメトリーにより吸着分子の還元的脱離の電流を観測し、その電気量から表面密度を明らかにした。 2)この単分子膜に対してベンゼンに浸した状態で光照射を行い、ジアゾ基の脱窒素によりカルベンを発生させた。ベンゼン中に溶解させたアルコールに対するカルベン炭素のOH挿入反応により、カルベンの捕捉を検討した。アルコールとして、酸化還元活性なフェロセニルメタノールを用い、カルベンに捕捉されたアルコールをフェロセニル基の酸化電気量として定量することにより、前駆体ジアゾメタンの13%が捕捉されたことが確認された。これに対し、溶液中のカルベンはフェロセニルメタノールによりまったく捕捉されず、二量化することが昨年明らかにされている。以上の結果から、基板に固定することによりカルベンの二量化が抑えられ、長寿命化できることが示された。
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Research Products
(14 results)