2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子三脚の秩序配列に基づく長寿命三重項カルベン単分子膜の開発
Project/Area Number |
21550132
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 敏一 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 克幸 三重大学, 社会連携研究センター, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301241)
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Keywords | 三重項カルベン / 分子三脚 / 自己組織化単分子膜 / 立体保護 / フェロセン / ジアゾメタン / TEMPOラジカル / ESRスペクトル |
Research Abstract |
昨年度までに2個のオルトメチル基と2個のオルトプロモ基を立体保護基として持つジフェニルジアゾメタンと三脚形トリチオールの連結体の自己組織化単分子膜をAu基板上に作製し、基板への光照射により発生したカルベンのESR観測を試みたが、臭素原子の重原子効果のためシグナル検出が困難であった。今年度は、プロモ基をメチル基で置換したジアゾメタンを新たに合成し、三脚形トリチオールを用いてAu基板上に固定された状態でのカルベン発生を検討した。 1.ジアゾメタン単分子膜に対してフェロセニルメタノールのベンゼン溶液に浸した状態で光照射を行い、ジアゾ基の脱窒素によりカルベンを発生させた。カルベン捕捉により基板に結合したフェロセニル基をサイクリックボルタンメトリーで定量し、前駆体ジアゾメタンの13.3%が捕捉できたことを確認した。単分子膜の基板を振動させながら光照射を行うことにより溶液中のフェロセニルメタノールの拡散を促進したところ、捕捉率は著しく(1.7倍)増大した。この結果、捕捉剤分子が基板表面に到達する効率を高めることにより、捕捉率をさらに高めることが可能であることが示された。 2.ジアゾメタン前駆体に対して2-メチルTHFマトリックス中、77Kで光照射することにより三重項カルベンに由来するシグナルを観測できた。一方、表面にジアゾメタンの単分子膜を作製した基板に対して真空化、ESRキャビティー内で光照射してカルベンを発生させたがシグナルを観測するには至らなかった。これは試料が単分子膜であるため測定対象の分子数が不足したためであり、シグナルを観測するためには少なくとも100倍の分子数が必要であることが示された。これに対してシャープなESRシグナルを示すTEMPOラジカルについて同様に作製した単分子膜のESRスペクトルを測定したところ、明瞭なシグナルが観測された。今後、ESR装置のSN比の改善あるいは単分子膜試料の高密度化により、カルベンのESR観測も可能になると期待される。
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Research Products
(16 results)