2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21560242
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷口 朋代 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90346370)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タンク底板浮上り / 耐震設計基準 / ロッキング―バルジング相互作用 / 長さを合わす変形 / バルジング応答の低下 / 半解析的有限要素法 / 部分的に配置するバネ要素 / 大変形を考慮できるリング要素 |
Research Abstract |
これまでに研究代表者らは、平底円筒貯槽のロッキング応答に伴いタンクに生じる応力を精度よく解析するためには、半解析的有限要素法に基づいて静的に解析することが必要であることを提案してきた。しかし、半解析的有限要素法の歴史は比較的新しいため、本研究の目的に合致するする半解析的有限要素は、タンク側板に用いる弾性シェル要素だけが既往の研究で導出されていた。 そこで、昨年度に開発したタンク底板に用いる大変形を考慮できるリング要素に引き続き、基礎と底板の間の接触を考慮するために底板をモデル化するリング要素に部分的に配置するバネ要素の開発を行った。そして、部分的に弾性支持された静水圧を受ける円板の変形を計測する実験との比較から、大変形を考慮できるリング要素に本研究で開発したバネ要素を部分的に配置すれば、実験結果を精度よく解析できることを示した。 そして、弾性のシェル要素、大変形を考慮できるリング要素とリング要素に部分的に配置するバネ要素を組合せて平底円筒貯槽の数値解析モデルを作成し、タンク死荷重、静水圧、タンクの水平慣性力、バルジングによる動液圧(ロッキング―バルジング相互作用によるバルジング応答の低下を含む)、タンクのロッキングに伴う鉛直慣性力、ロッキングによる動液圧を載荷して、タンク底板の浮上り変位量を静的解析で求めて、動的陽解法で求めたタンクの浮上り挙動の時刻歴の最大値と比較した。 その結果、①タンク底板の浮上り変位量を精度良く計算するには、タンクのロッキングのメカニズムに関わる物理量を全て考慮する必要があること、②既存のAPIやEuro-code等の設計基準で採用されている手法では、タンク底板の浮上り変位量を20~30倍過大に評価すること、③タンクは部材の長さを合わすように、側板の面外方向の変形に応じて底板浮上り量が変化すること、などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平底円筒貯槽の底板浮上り量を静的な有限変位解析で求めた結果が、動的陽解法で求めたタンク底板の浮上り量の時刻歴の最大値とほぼ一致することを示した。このことは、本研究を通じて明らかにしてきたタンクのロッキング応答のメカニズムや、それに寄与する物理量の定義の適正さを傍証する結果となったから。また、側板の面外方向への変形がタンク底板の浮上り量に大きく関係していることや、既存のAPIやEuro-code等の設計基準ではタンク底板の浮上り量を過大に与えること、などを明らかにしたから。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のタンクのロッキングに伴う動液圧には、矩形タンクで導いた動液圧を近似的に用いているので、円筒タンクの場合の動液圧の数学解を導く必要がある。また、バネ―質点―剛体連成系モデルに基づきタンクの浮上り挙動を解析するために必要になるロッキングに寄与する内容液の有効質量とロッキング―バルジング相互作用に寄与する内容液の有効質量の数学解を導く必要がある。 そして、地震応答スペクトルから決まる最大応答加速度をバネ―質点―剛体連成系モデルに適用して、タンク底板の浮上り変位量やロッキング―バルジング相互作用によるバルジング応答の低下量などを近似的に求められる簡易式を導く必要がある。 一方、タンク側板の面外方向への変形や花びら応答などがタンク底板の浮上り量に及ぼす影響を明らかにし、タンク底板の浮上り量算定手法に取り入れる方法について検討する。
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Research Products
(4 results)