Research Abstract |
直接形AC-AC電力変換装置であるマトリックスコンバータ(以下MC)、に対して,より一層の特性改善と装置の大容量化を実現し,高調波・EMIに厳しい医療現場やエネルギー消費の中心である電動機ドライブへの応用に寄与する,環境に優しい電力変換システムの開発を目的として,本年度は以下の2項目についての研究を実施した。 1)他の機器からの電流外乱にロバストな制御アルゴリズムの構築直流リンクを持たないMCでは,入力電源のひずみや不平衡の影響が出力に直接現れる。本研究室の制御手法では,入力電流の分配率を利用した入力力率制御法を開発しており,それを利用して入力電流外乱にロバストな制御アルゴリズムをシミュレーションシステムにて検討した。シミュレーションでは,ダイオード整流器などを同一電源にて駆動し,電源異常をモデリングした。しかしながら,実験においての電源異常を再現するためには,巻線型同期発電機を電源とする装置が必要と思われ,今後の課題となった。 2)入力側LCフィルタの設計入力回路に接続されているLCフィルタは,MCのスイッチングノイズの影響を電源に与えないためであるが,このフィルタ定数は,キャリア周波数や負荷,さらには電源側の状態によって,適当な設計が必要となる。これは,実験的を繰り返すことで実証するより,シミュレーションシステムによって,すべての条件を考慮しながら検討する方が効果的である。そこで,本年度はシミュレーションシステムによりフィルタ定数を検討し,実験によりその結果の妥当性を検討した。また,フィルタコンデンサによる平衡点を補助スイッチとインダクタにて出力側に接続し,メインスイッチと並列にコンデンサを接続したARCP方式ソフトスイッチングも合わせて検討した。これにより,総合効率の向上や高調波・EMIに対してより有効なシステムへと展開する。
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