2010 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム観測によるナノオーダー極薄シリコン絶縁膜の形成機構
Project/Area Number |
21560321
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
遠田 義晴 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20232986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
匂坂 康男 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80108977)
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Keywords | シリコン酸化膜 / 光電子分光 / 酸化速度 / リアルタイム測定 / ゲート酸化膜 / 熱脱離 |
Research Abstract |
本研究は、シリコンゲート絶縁膜の超薄膜化を背景に、膜厚数nm以下のシリコン絶縁膜形成中の表面反応素過程や反応速度を、原子レベルで明らかにすることを目的とする。このため、この分野では従来にない新しい実験手法「準大気圧リアルタイム光電子分光」を用いた。これにより従来では表面第一層に関する研究に限られていのが、絶縁膜数層分に対応するより現実的な半導体デバイスに近い膜厚領域まで実験が可能になった。以下に具体的な研究成果を述べる。 1.Si(111)表面の初期熱酸化中にリアルタイム光電子分光測定を行い、様々な条件下での酸化速度を測定した。その結果、酸素ガス圧力が10^<-5>Torr、酸化温度が300-700℃において、酸化膜厚0.3nmまでは急速に酸化しその後極めて緩やかに酸化が進行した。0.3nmは表面第一層の酸化に対応すると考えられる。また酸化温度600-700℃で酸素ガス圧力を10^<-7>Torrから10^<-3>Torrまで次第に上げていった測定では、酸化は10^<-7>Torrで急速に進み、その後の10^4倍の圧力増加に対し膜厚は2倍程度にしか酸化は進行しなかった。このような振る舞いは基本的にはSi(100)表面と同一であるが、酸化速度は1/2程度に抑えられることがわかった。 2.酸化膜形成と同等に酸化膜熱脱離反応もデバイス工程上その現象を詳細に解明することが重要である。そこでSi(100)上の20nm酸化膜試料を加熱し、生ずる熱分解脱離反応を光電子分光・走査型電子顕微鏡・原子間力顕微鏡等を用いて調べた。その結果、酸化膜は不均一に脱離しボイド状にシリコン表面が露出するが、その露出したシリコン表面上には山の等高線に例えられるステップ構造が形成し、さらに約1μmサイズの等間隔に並んだSi島構造も形成することが観察された。
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Research Products
(9 results)