2011 Fiscal Year Annual Research Report
実用的な高効率・擬固体化色素増感太陽電池モジュールの開発
Project/Area Number |
21560325
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
村上 健司 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (30182091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥谷 昌之 静岡大学, 工学部, 准教授 (00293605)
下村 勝 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (20292279)
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Keywords | 太陽電池 / ナノ構造TiO_2 / 表面・界面物性 / 光散乱層 / スプレー熱分解薄膜作製法 |
Research Abstract |
本年度は、(1)色素吸着のためのスプレー装置の改良、(2)スプレー吸着色素の吸着状態の解明、(3)スプレー吸着色素を利用した太陽電池の試作と特性評価および(4)ナノ構造を利用した高性能TiO_2半導体層の開発を目的として研究を遂行した。その結果、(1)に関しては、スプレーによる色素含有溶液の飛散を防ぐために、噴霧口を細いスリット状にするとともに、噴霧口と基板との距離が3cm以下となるように改良した。併せて、TiO_2膜上への色素の吸着を促進するために、噴霧口と基板との間に1kV~3kVの高電圧を印加し、電界により吸着量が増加する傾向を確認した。(2)に関しては、スプレーにより色素を吸着させた、TiO_2膜のIR分光計測を行い、色素が化学吸着していることを確認した。(3)に関しては、通常の浸漬法により一晩色素を吸着させたものを利用した太陽電池と特性を比較したが、吸着時間は大幅に短縮されるものの、吸着量が一桁以上低いため、スプレー吸着色素を利用した場合、十分な特性が得られないことが明らかとなった。(4)に関しては、TiO_2膜上に球状のTiO_2を塗布し、球径と太陽電池性能の関係を調べ、エネルギー変換効率が最大となる球径が存在することを指摘し、変換効率の向上には、球状TiO_2の光散乱効果が大きく寄与していることを明らかにした。 本年度得られた研究実績は、スプレー熱分解法を利用した色素増感太陽電池の作製プロセスの単純化および低コスト化に対して多くの知見を含んでおり、作製プロセス設計の有効な指針となる。また、TiO_2半導体層への光散乱層の導入が性能向上に有効であり、スプレー熱分解法により球状TiO_2の作製・塗布が可能であることを明らかにし、作製プロセスとしてスプレー熱分解法を利用することの有意性を示した。
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Research Products
(13 results)