2009 Fiscal Year Annual Research Report
光化学エッチングで3次元構造を形成した酸化チタン・ポリアニリン膜による光蓄電池
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21560335
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野見山 輝明 Kagoshima University, 理工学研究科(工学系), 助教 (60274859)
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Keywords | 光蓄電池 / 酸化チタン / 導電性高分子 / ポリアニリン / 有機無機複合材料 / 電気化学的インピーダンス / 構造制御 / 電荷移動速度 |
Research Abstract |
本研究課題は,1電極(光蓄電極)上の光電気化学反応で発電と同時に蓄電を実環する新しい電池デバイス(光蓄電池)の開発である.光蓄電極として光励起源である酸化チタン(TiO_2)と蓄電材料である導電性高分子ポジアニリン(PANi)の複合材料を用いている.本課題の着手以前に,光化学エッチングにより膜垂直方向にTiO_2層とTiO_2-PANi複合層を形成すると光蓄電量子効率が向上することがわかっていた.そこで平成21年度は「1.光化学エッチンク機構の解明」と「2.3次元構造の制御」を目標とした.その結果,1について,評価装置として購入予定の小型ラマン分光装置の性能試験を行ったが本課題の要求性能に達していなかった.更に,2について,研究の過程で光化学エッチングよりも精度よく簡単に3次元構造を形成できる方法として電着制御法を見いだした.これらの結果から,購入物品を小型ラマン分光装置からパルスレーザ装置に変更し,電着制御による3次元構造の制御を目的とした,その結果,充電光をソーラシミュレータとしたとき光蓄電量子効率0.4%,TiO_2吸収域のみでは7%を得た.また,電着制御により構造を制御した電極の電気化学的インピーダンスからTiO_2-PANi間の電荷移動の時定数が10^<-1>秒程度であり,これが光蓄電反応の律速であることを明らかにした.この結果より,TiO_2-PANi間の電荷移動の時定数を100倍程度短くできれば,電荷移動速度がTiO_2中の励起電子の寿命に匹敵するため更なる効率の向上が期待できる.よって,平成22年度はPANiのモノマーや電着液,電着電流等を変化させてTiO_2-PANi間の電荷移動の時定数を10^<-3>秒程度まで短くすることを目的として研究を進める.
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