2010 Fiscal Year Annual Research Report
光化学エッチングで3次元構造を形成した酸化チタン・ポリアニリン膜による光蓄電池
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21560335
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野見山 輝明 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (60274859)
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Keywords | 光蓄電池 / 酸化チタン / 導電性高分子 / ポリアニリン / 有機無機複合材料 / 電気化学的インピーダンス / 構造制御 / 電荷移動速度 |
Research Abstract |
平成22年度の研究目的は,以下の3つである。 H22目標1)パルスレーザ光を用いた光周波数応答測定を行い,TiO_2とPANi間の電荷移動の時定数を検証する。 H22目標2)TiO_2の粒径とPANiの電着条件(温度,速度等)を変化させて電荷移動の時定数を測定し,時定数を短くする電極作製条件を見いだす。 H22目標3)可視光応答TiO_2を用いた光蓄電池の諸特性を明らかにする。 まず目標1と2に対して,チタニア(TiO_2)と導電性高分子ポリアニリン(PANi)からなる光蓄電極の速度論的な知見と更なる効率向上を目指し,発電層となるTiO_2のみが露出したTiO_2厚さと,蓄電層となるTiO_2-PANi複合層厚の最適化を行った。層厚制御は前年に確立したTiO_2多孔膜へのPANi電着制御にて行い,それぞれの層厚を変えたときの光蓄電量子効率の変化をAM1.5の模擬太陽光を用いて測定した。その結果,発電層厚3μm程度で発電量は飽和し,それ以上ではほぼ変化しなかった。更に発電層厚3μm以上として蓄電層厚を変化させると,蓄電層厚10μm以上では,模擬太陽光10分照射に対する光蓄電量子効率が0.8%で飽和した。これはTiO_2吸収域の量子効率に換算すると25%程度となる。これら結果より,更に蓄電層厚と光充電時間を延ばすことで,効率を向上できることが分かった。また,入射光子数および放電電子数とそれぞれの層厚の相関に加え,光周波数応答およびインピーダンス測定から,TiO_2-PANi電極の光蓄電反応の速度論的モデルを構築することができた。目標2,3の中の電着条件による時定数の変化および可視光応答型TiO_2の利用については,十分な知見を得ることができなかった。これは平成23年度以降も引き続き研究を続ける予定である。
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