2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560336
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小林 清輝 東海大学, 工学部, 教授 (90408005)
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Keywords | 電子・電気材料 / 不揮発性メモリ / LSI / シリコン窒化膜 / 常磁性欠陥 / CVD / Cat-CVD |
Research Abstract |
不揮発性半導体メモリデバイスのメモリセル構造に対し、電荷トラップメモリ方式が注目されている。この方式では、電荷トラップ絶縁膜に内在するトラップ中心に電子または正孔を捕獲させることで情報を記憶する。これまで電荷トラップ絶縁膜にはシリコン窒化膜が用いられてきたが、この膜のトラップ中心の微視的構造と電荷捕獲機構は未だ論点となっており、Si_db(silicon dangling bond)は電子トラップと正孔トラップの起源の一つと考えられてきた。これに対し本研究では、窒化膜に対し4.9eVの紫外光を照射することで発生するK^0センター(常磁性欠陥状態のSi_db)の振る舞いについて検討してきた。今年度は、窒化膜の紫外光誘起電流とK^0センターの熱的安定性について調べ、これらが室温~240℃の熱処理で減少し、これらの発生と消滅が可逆現象であることを見出した。本研究で得られた紫外光誘起電流の振る舞いについて様々な角度から検討を加え、K^0センターが窒化膜中で電子正孔対の生成中心として振る舞い、生成した電子正孔対によって紫外光誘起電流が発生するというモデルによって全ての実験結果を説明できることを示した。また、Si_dbのメモリ特性への影響を確認するために、窒化膜の電荷捕獲特性と十分な紫外光照射を行った後のK^0センター密度との関係を調べ、相対的に低いK^0センター密度を示す窒化膜において広いメモリウインドウが得られた。以上のことから、Si_dbはメモリデバイスにおいて電荷を捕獲する主たるトラップ中心ではなく、キャリヤ生成中心として信頼性を低下させる要因となりうる欠陥と考察された。また、400℃という低温のCatalytic-CVD法でSiH_4流量を実験パラメータとして堆積した窒化膜を用いてメモリ素子を試作し、750℃減圧CVDの窒化膜との比較において、より優れた正電荷保持特性を示す条件を見出した。
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