Research Abstract |
カプセル内視鏡などの人体内部へ電力と共に画像情報なども通信することを想定し,UHF帯での検討を行った。無線電力伝送に使用可能な周波数として900MHz帯,430MHz帯が想定されるため,それぞれの周波数に適し,カプセル内視鏡に内蔵できる大きさのアンテナ設計を行った結果,430MHz帯の方がアンテナの設計は困難だが人体での損失が少ないため,電力伝送効率が3倍以上高くなることが,シミュレーションで解明された。電力送信用アンテナを複数配置することにより,カプセル内視鏡の動きに応じて電力送信アンテナを切り替えて使用するだけではなく,SAR(Specific Absolption Rate)人体への電力吸収量も防護指針値以下に抑えられることが確認された. また,従来から検討を行っている注射器にて人体に挿入できるインプランタブルアンテナについては,RFIDで使用される950MHz帯および2.45GHz帯での新しいアンテナ構造を提案し,従来のものより利得の向上を実現した.今後は,動物実験を行い実用性の確認を行っていく予定である. 本年度より,インプランタブルアンテナの実用化の1つとして,人工膝関節への応用を始めた.人工膝関節は,手術後長期に亘って人体内に留まって使用されるが,関節内の軟骨にあたる部位は,術後10年から20年で摩耗により破損してしまう.この時に患者のカルテが保存されていないなどの理由で,体内設置してある人工関節がどのメーカ,型式,大きさなどが不明となり,X線検査でも正確には分からない.この改善策として,それぞれのパーツにインプラント型のRFIDを装着することにより,体外からでも簡単に型番や手術日,術者などが確認できるようになる.人工膝関節の数値モデルを作成し初期の検討を行った結果,外部との通信ができる可能性が判明したため,今後は,最適なアンテナ構造,配置等を検討していく予定である.
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