2011 Fiscal Year Annual Research Report
情報保護を目的とした環境適合型透明薄型電波吸収体の開発
Project/Area Number |
21560417
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Research Institution | 東京都市大学 |
Principal Investigator |
岡野 好伸 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (10339533)
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Keywords | 情報保護 / 環境適合 / 超薄型電波吸収体 |
Research Abstract |
現在社会問題化しつつある無線携帯通信機の使用に関して情報保護や犯罪予防の観点から利用者に安全で適正な使用環境を提供すると共に、近年普及が期待されるRF-ID(無線認証)用タグに対して、誤認証を抑圧し物流効率を向上させる多周波数対応透明薄型電波吸収体の実用化をその研究目的とする。従来、抵抗膜-周波数制御金属素子層-反射板の3層を一定間隔で配置する構造で透明薄型電波吸収体を構成していた。しかしこの構成では製作が煩雑な上に、機械的強度・耐久性が極めて低く実用的ではなかった。そこで、これを補強材で充填した場合の電磁界分布を詳細にシミュレートした結果、周波数制御金属素子層-反射板の間隙に任意の誘電体を充填した場合でもこれらを適切に設計した場合、十分な電磁波吸収現象が生じることが明らかとなった。また、この場合、抵抗膜の必要性が殆ど無くなるので、最良の設計状態では抵抗膜無しで、厚さ5ミリメートル(考慮波長の約1/65程度の厚み)にまで薄型化可能であることが判明した。現在、厚さ5ミリメートルの高耐久性透明樹脂であるポリカーボネート樹脂板で構成した試作透明薄型電波吸収体の吸収性能は設計中心周波数において40dBに達している。そこで平成23年度は当該研究の最終年度であり上記の研究結果を基に実際の倉庫を用いて本格的なフィールドテストを行った。この結果、当該透明薄型電波吸収を使用した場合、管理区域外部への電波漏洩を劇的に抑圧できることを確認した。その成果を無線認証技術の導入が盛んなオセアニアにおいて発表した。
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