2009 Fiscal Year Annual Research Report
再生可能エネルギーの利用を促進する社会経済システムの研究
Project/Area Number |
21560427
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
山本 芳弘 Takasaki City University of Economics, 経済学部, 講師 (20419435)
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Keywords | 再生可能エネルギー / 太陽光発電 / 余剰電力購入 / 補助金 / インセンティブ |
Research Abstract |
再生可能エネルギーから発電された電力の普及策であるRPS(取引可能な利用目標の設定による方法)、FIT固定価格での買い取りによる方法)、ならびに住宅用太陽光発電(PV)の余剰電力購入制度の仕組みや各国での導入状況などについて、研究準備段階での調査の補足を行った。 次いで、PVシステムを普及させるためのインセンティブについて、ミクロ経済モデルによる分析を行った。そのインセンティブとは、PVシステムで発電された電力を電力会社が電気料金よりも高い価格で買い取る一方、電力会社は買い取り費用を全家計に適用される電気料金に上乗せするという制度である。そのもとで、政府がある一定の導入件数を目標とする場合の買い取り価格と電気料金との関係を明らかにした。多くの先行研究とは異なり直接、経済性を問題とするのではなく、予算制約やPVに対する評価(つまり効用)が家計ごとに異なるモデルを考案し意思決定を分析した。主な結果は次の通りである。買い取り費用が電気料金に上乗せされない場合、導入家計も未導入家計も「高い買い取り価格・低い電気料金」を選好する一方、電力会社の選好は「低い買い取り価格・高い電気料金」となる。買い取り費用が電気料金に上乗せされる場合、買い取り価格と電気料金は一意に定まる。PV電力の全量買い取りと余剰電力のみの買い取りは、導入件数目標が同じである限り政策効果は同じである。さらに、政府が、PVシステム導入家計に設置補助金(財源は所得税)を与える場合も検討した。そして、買い取り価格、電気料金、補助金額に対する各家計の選好は、所得水準(つまり予算制約)に応じて決まることを明らかにした。 我が国では、2009年11月から新たなPV電力の購入制度が導入されるなど、PVの普及を積極的に推進している.本研究は、効率的かっ公平なPVシステムの普及策を検討する上で、重要な示唆を与えるものである。
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Research Products
(2 results)