Research Abstract |
平成23年度は,以下の二つのテーマに主眼をおいて,研究を進めた。 テーマ1の研究内容と成果: 複数の貫入体(杭)が鉛直荷重と繰返し水平荷重が受ける時の,貫入体に発生する力(あるいは応力)と周辺地盤の変位・変形挙動を実験的に調べた。実験では,杭頭を剛なフーチングで固定した,幅D=15mm,長さL=300mmの3本の貫入体を,杭中心間隔S=45mm,60mmで,あらかじめ模型砂地盤に設置し,その後この基礎構造物を4mm程度押し込んだ。その後,フーチング部に繰り返し水平荷重を与えた。鉛直荷重段階では,両端の杭が,中心杭に比べて,大きな荷重を負担した。また,水平載荷時では,変位する前面に位置する貫入体が非常に大きな抵抗力を受けた。これらの挙動は,これまでに知られている群杭挙動に対応している。地盤の挙動に着目すると,鉛直載荷時には,貫入体に取り囲まれた地盤があたかも一つの大きな貫入体であるかのような挙動が観察された。水平載荷時には,貫入体の前面および後面に,地盤と貫入体の間にギャップが生成された。これらの実験データを今後詳細に解析することで,貫入体周辺地盤内の応力変化をある程度の精度で推定できる段階に達した。 テーマ2の研究内容と成果: 開端杭や標準貫入試験サンプラーの地盤への貫入を念頭に置き,管内土の挙動に焦点を絞り,管内土の押上げ実験とこのDEM解析を行った。このテーマでは,管内土高さH,菅内径D,地盤密度D_rを変えて,押上げ実験を行った。その結果,サンプラー内部の土の応力状態は,H/DおよびD_rに大きく影響されることが示された。また,DEM解析に基づけば,土粒子間の摩擦係数μ_<intrinsic>,土の内部摩擦係数μおよび土粒子とサンプラー内面間の摩擦係数μ_<intrinsic>も,サンプラー内部の土の応力状態に影響するパラメータであることが示された。このことは,N値の有する力学的意味を考察するのに,貴重な研究成果といえる。
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