2010 Fiscal Year Annual Research Report
二次元蛍光測定法を用いた現地直接測定による河川一次生産性の評価
Project/Area Number |
21560533
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤野 毅 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70282431)
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Keywords | 付着藻類 / クロロフィル励起蛍光 / PAM/CAM / バイオフィルム / シルト |
Research Abstract |
植生や藻類の光合成活性を非破壊で調べる方法として、クロロフィルaの励起蛍光を測定する、Pulse Amplitude Modulation (PAM)の利用がある。元来、これはその点で植物が受けている環境ストレスを評価するものであるが、強さとクロロフィルa量との関係があり、バイオマスの推定に生かせる可能性がある。本研究では、チェコPSI社のHandy Fluor Cam(製品名:FC 1000-H/GFP,GFP測定用をカスタム改良したもの)を用いて、礫に付着した藻類群集の量子収率の測定を試みる。従来のPAMによる方法は点的な測定に留まるのに対し、この機械は5cm四方の面を捉える事ができるため、礫に付着した藻類のバイオマスの評価に適切である。 本年度は、小型の実験水路による室内実験を中心に行った。幅40mm、長さ70mm程度のプラスチック容器に栄養を含まない寒天培地を入れ、1mのアクリル製水路に縦にならべ、浮遊物質が自然に水路床に沈着し、付着藻類が繁茂する。そこで、実際の河川ではシルトを多く含む浮遊物質が問題となっていることから、9種類の水路に対して、LEDパネルによる光強度を3段階に調整し、さらにシルトを含んだ水路とそうでない水路でバイオマスに対する比較を行った。同時に、寒天培地に発達するバイオフィルムのもつ種々の細胞外活性酵素を測定した。現時点では、シルトによる光環境の不利がクロロフィルa量の増加を促進させ、また、バクテリアによる活性もシルトのない場合よりも有意に高く現れた。しかし、現時点ではそれがそのまま一次生産性を高めているかは不明であり、今後はトリチウム・炭素同位体による生産力の直接測定を行い、この結果とあわせて非接触による藻類群集の量子収率から一次生産性を評価してよいかどうかを検討する。
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