Research Abstract |
以下の研究を行い,潜在クラスモデルの適用性を検討するための2種類の分析対象の基礎分析を行った.(1)近年,わが国ではプロのデザイナーによって鉄道車両が設計され,旅行の付加価値を向上させる事例がみられるが,全国的な展開には至っていない.その理由のひとつに,車両デザインと需要増との関係性が明らかではないため,事業者が鉄道車両のデザイン化に消極的であることがあげられる.このため,小田急ロマンスカーを対象とし,鉄道車両の車内デザインを考慮した需要予測モデルの構築を目指した.そのために,1)車内色彩デザインの計測手法,2)色彩快適度関数の構築,3)車内デザインの評価モデル,4)需要予測モデルの構築,以上4点を検討する.構築したモデルを用いた分析の結果,車両をデザインすることで,他交通機関からの利用者の転換が望め,一定の収入増加が見込めることを確認した.また,車内デザインの評価に関しては,個人個人でその嗜好性に分散があることが認められ,詳細な特性の把握のためにアプリオリ潜在クラスモデルの適用が望ましいことが判明した. (2)これまで地方鉄道の需要増加の事例研究はあったが,需要増加策の効果を定量的に分析する技術の開発は十分ではなかった.経営状況が厳しい地方鉄道会社が効果的で,効率の良い施策を実施していくためにも,この様な技術の開発を進めた.具体的には,これまで全国各地で実施された需要増加策を交通機関選択モデルに組み込み,需要増加量を把握できる様にすることや,自動車から鉄道へ容易に転換できる利用者層を抽出できるアプリオリ・セグメンテーションを行うための潜在クラスモデル技術があげられる.本年度は,地方鉄道を選択肢とするロジットモデルおよびParametrized Logit Captivityモデルの開発行い,固定層と選択層の分離を行った上で,潜在クラスモデルの適用可能性を検討した.
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