2010 Fiscal Year Annual Research Report
浮き上がり活用型制振架構形式の展開に関する基礎研究
Project/Area Number |
21560607
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
石原 直 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 主任研究員 (50370747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小豆畑 達哉 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 室長 (00251629)
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Keywords | 浮き上がり / 架構形式 / 回転慣性 / 均一せん断棒 / 振動台実験 / モード解析 / 有効質量 |
Research Abstract |
本研究では解析及び振動台実験を通じて浮き上がり活用型制振架構の基礎的な振動特性や応答低減効果を明らかにすることを目的としている。従来の架構では建築物全体のアスペクト比(幅に対する高さの比)によっては応答低減効果をあまり期待できないが、本研究で提案する架構形式によれば、簡易かつ安価な浮き上がり活用型制振架構の適用範囲を広げ、建築物の耐震性能の決定にあたり安価な選択肢を増やすことにつながる。 今年度は、比較的アスペクト比が小さく、浮き上がりが発生しにくい架構を対象に、柱スパンや杭の支持スパンを意図的に狭めることにより浮き上がりを発生しやすくした架構("広幅"浮き上がり架構)を主に取り上げた。本架構では特に浮き上がり挙動に対する各床の回転慣性の影響に着目して検討を実施した。 まず、昨年度と同様に多層建築物模擬した均一せん断棒モデルを対象に理論解析を行い、浮き上がり中の振動特性や動的挙動に対する回転慣性の影響を検討した。回転慣性に応じた振動数や有効質量の変化などの振動特性を明らかにした上で、アスペクト比が2程度でも負荷を大きく低減しうること、変位や浮き上がり時間に対する回転慣性の影響は小さいこと、などを明らかにした。 続いて、多層建築物を模擬する既存の模型試験体に部材を付加することで、動的挙動及び地震応答に関する回転慣性の影響を実験的に検討した。回転慣性の大きい試験体と小さい試験体とは重量・剛性等は同じとし、理論解析の結果を参考として両者の回転慣性の比を2.7倍とした。地震応答における負荷(層せん断力係数)は前者の方が若干上回ったが、両者で大きな違いがないことを確認した。この結果から、ずんぐりした建築物に対しても浮き上がりの効果を十分に活用しうることを示した。 その他、これまでの成果のまとめと公表、有効質量に関する基礎的な検討、比較のため免震構造物の動的挙動に関する検討などを行った。
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Research Products
(4 results)