2012 Fiscal Year Annual Research Report
土地利用形態変化に伴う地域気候変動に配慮した地域・建築計画指針に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21560660
|
Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 健次 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (60259877)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 微気候 / 気候変動 / 土地利用形態 / 造成開発 / 気象観測 / ヒートアイランド |
Research Abstract |
調査対象とする造成事業は,当初平成22年度からの着工を予定していたが,環境影響評価に伴う計画変更の影響もあり,約2年遅れの平成24年度より本格的に着工した。従って,当初は造成前の観測を既存調査を含め3年分のデータで評価しなければならなかったが,着工の遅れが幸いし,平成24年度初頭までの観測を加え,計5年分の造成前データが収集できた。平成24年度からは,継続する気候観測に並行して,造成工事進度と土地被覆状況の変化の調査を開始した。また,主要通勤道路に対する交通量調査も開始している。 気象観測は定点観測と移動観測を基本とし,具体的には定点観測は造成予定地を取り囲むように10箇所程度の観測点を設定し,可動型気象観測システムにより,気温・湿度・風向・風速・降雨量・日射量を30分間隔で24時間連続観測を継続している。移動観測は夏季および冬季における典型的な季節日を対象に,日の出前,日中,日没後の3回を最低回数として,気温・湿度・風向・風速に関して,造成予定地を周回する主要道路を網羅した観測を実施している。また,交通量調査は移動観測日に合わせて,早朝及び昼間の2回継続調査している。 その結果,造成工事着工前の造成予定地東部に位置する里山を中心に確認されていた低温地域が,周辺地域に対して冷却効果を果たしていることが確認され,今後の造成開発による排熱・蓄熱源化により,地域の微気候変動の可能性が高いことが示唆されている。気象観測は年毎に多少の変動もあり,造成による温熱環境影響に対する直接的な評価は難しいが,工事完成までの約15年後までの年間を通した24時間観測により,開発による段階的な影響が明らかになるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象の造成計画に関する環境アセスメント調査等の指摘により,造成計画の変更および改善が必要となり,着工が約2年延期された点では当初予定より遅れている。しかし,当初は造成前の観測を既存の観測調査を含め3年分のデータで評価しなければならなかったが,平成24年度初頭までの観測を加え,計5年分のより充実した開発前データの収集が可能な状況となった。着工前の実態把握及び造成工事段階の変容を捉えることは,その後の周辺気候に対する影響分析において極めて重要であることから,造成前の観測時間を確保することができたことは,今後の造成工事段階の変容を検証するに足る信頼性の高い着工前の実態把握が可能となり,当初の計画以上の成果と評価できる。 さらに,平成24年度の本格的な造成工事及びインフラ整備工事の着工後に関しては,工事に伴う立入禁止区域の設定等により多少の計画変更はあるものの,予定地周辺に関する気象調査は順調に行われており,継続的観測データとして蓄積されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的な研究計画に変更はなく,当初計画通りの観測を継続していく予定である。一部造成計画の変更及び工事に伴う立入禁止区域の設定による観測対象地点の移動等の検討が必要となる点があるものの,継続中の観測に大きな支障はない。気象観測は継続が生命線である点を踏まえ,定期的な機器管理をこれまで通り推進していく。一方,平成24年度からは造成工事が開始されており,造成による土地利用形態変化に関しても定期的に継続調査していく予定である。
|