2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560670
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 美樹 Ashikaga Institute of Technology, 工学部, 准教授 (90326819)
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Keywords | 東京23区内 / 江戸御符内 / 寺院境内地 / 墓地 / 隣地環境 / 寺町 |
Research Abstract |
平成21年度においては、葬送の歴史と江戸都市史に関する多くの資料を収集し、葬送文化や江戸寺町の変遷と寺院境内地および墓地領域の全体把握に努めた。その結果、江戸御符内寺院領地は大きく、江戸城拡張、明暦大火(江戸時代)、明治維新、関東大震災復興、戦後区画整理をきっかけとして移転や領地拡大と縮小を繰り返したこと、明治維新以後は極端に寺院境内地が縮小し、昭和期の寺社領地処分により若干領地が拡張している地域がある、など領地変遷に係わる事項が判明した。寺院境内地の変容をビジュアルで確認するため、「重ね地図」より1856年頃、明治40年、現代の3つの地図について、江戸御符内(朱引き・墨引き線内)寺院境内地領域を抽出した地図を作成した。これにより、各寺町の寺院境内地の量的、場所的な変化を知ることができた。実地調査として、都内12地区(西浅草、谷中、上野、下谷、本郷、西巣鴨、雑司ヶ谷、芝、三田、西麻布、四谷、池上)および京都、大阪の寺町にある計400件余りの寺院墓地を訪れ、写真撮影などを行いながら、寺院境内地および墓地の境界領域の状況を記録した。その結果、現在23区内の寺院墓地と近隣との関係性について、1.かつての門前が現在も寺院領地であり、借地や借家として以前の建築スケールが維持されている地域(西巣鴨、谷中他)、2.大通り沿いの元門前地は高層マンションなどが立ち並ぶが、裏通りの近隣には古い街並みが残り、改葬や墓地整備も比較的遅れている地域(本郷、雑司ヶ谷、四谷)、3.近隣は大規模な商業施設などに開発されているが、寺院領地は比較的維持されている地域(芝、西麻布、三田)、4.街路沿いの敷地は、商業施設や高層マンションに開発され、街区の中央部にのみ寺院領地と墓地領地が残されている地域(西浅草他)の4段階程度に分類されるという考察を得た。
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