2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性粒子の自己組織化過程に現れる規則的配列とその発現機構
Project/Area Number |
21560683
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 真帆人 Yokohama National University, 工学研究院, 准教授 (30188198)
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Keywords | 磁性微粒子 / 規則的配列 / 銅合金 / 組織変化 / TEM / 磁気的相互作用 |
Research Abstract |
微細な磁性粒子を含むナノグラニュラー磁性体には磁性体特有の複数の相互作用が働き、それらの微妙な均衡によって構造や物性が実現される。それらのバランスがどのように実現されているかの詳細を知る事は、物性に関する基本的理解を更に進めるためにも、効率の良い実用デバイスを創製するためにも有用な情報となり得る。本研究で採用する固相相変態を用いる試料調整法では、粒子径や粒子間距離を連続的に変化させて磁気特性と組織を調べることができる等、他の方法では達成できない重要な利点を有している。本研究では、固相相変態法のこのような利点を利用して、ナノ磁性粒子の組成や分散状態を系統的、連続的に変えながら、組織と磁気的相互作用の詳細な対応関係を明らかにすることを目指す実験を実施した。 熱処理条件を系統的にかえて新たに作製した3元系合金の組織形成を調べた。その結果、これまでにCu-Co合金やCu-Fe合金で確認されている磁性微粒子の1次元配向より更に顕著な粒子配向が発生することが明らかになった。この配向については従来の弾性論による説明が困難であり、今後の研究課題である。ローレンツ顕微鏡低角電子回折法により、Cu-Fe合金の磁化の向きと大きさの変化を粒子成長過程の中で調べた。これによると粒子成長に伴ってFe粒子は、ある大きさになるとfccからbccに向かって構造変化を起こし、ベイン格子変形のモデルを用いるとc/a=1.2付近で強磁性的になることがKKR法ならびに密度汎関数計算から推定された。実験的にもローレンツ顕微鏡低角電子回折法により、これと矛盾のない結果が得られた。PPMSを用いた磁気抵抗測定で顕著なMR効果がみられる試料条件があった。この結果予想と異なる傾向を示しており、詳細な検討は次年度の課題として残された。
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Research Products
(9 results)