2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560691
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
橘 勝 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (80236546)
|
Keywords | カーボンナノウォール / 燃料電池 / プラズマCVD / 白金担持 / 白金代替触媒 / ドメイン構造 |
Research Abstract |
前年度までの研究において、電極などへの応用研究に必要なプラズマCVD法によるカーボンナノウォール(CNW)の大量合成や成長制御に関しては、ある程度の目標が達成された。本年度は、これらの成長制御されたCNWを用いて、実際に、燃料電池の触媒電極における白金担体としての特性評価を行った。 溶液還元法によって、CNWに白金ナノ粒子を効率よく担持させることにはじめて成功した。このときの白金ナノ粒子の平均粒子サイズは、3.6nm程度であり、その分布状態も比較的狭いものであった。さらに、注目されることは、白金ナノ粒子がCNWの構造上の特徴であるドメイン境界に優先的に吸着すなわち担持されることも明らかとした。このドメイン構造、例えば、サイズは、CNWのプラズマCVD法による生成条件によって容易に制御することができる。したがって、白金ナノ粒子の担持状態や活性状態の制御も可能であることが期待される。さらに、サイクリックボルタンメトリー法による電気化学測定を行うことによって、白金担持CNWの触媒活性表面積が53.4m^2/g-Ptであることもわかった。また、その白金の利用率は66.7%であることが見積もられ、市販の最高性能の白金担持カーボン(57.3%)と同程度あるいはそれ以上の性能を示すことも明らかとした。これらの結果は、CNWの実用化に向けた可能性を期待させるものであり、特許申請および学術論文としてまとめた。 CNWのドメイン構造の可能性と、触媒電極への応用研究の発展として、CNWのは貴金属代替触媒電極の開発研究にも着手した。予備的な実験ではあるが窒素ドープのCNWにおいて触媒活性が大幅に増加することを観測した。そこで、今年度は、CNWのプラズマCVD法による成長制御の研究の一環として、新たに窒素ドープの手法の研究もはじめた。また、このドーピング実験は、n型半導体といった電子デバイスへの応用研究にも繋がり、更なる発展が期待される。
|