2011 Fiscal Year Annual Research Report
シリカナノ粒子のアンカー効果を利用した安全で安心な難燃剤と光安定剤の創製
Project/Area Number |
21560711
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪川 紀夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20018675)
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Keywords | シリカナノ粒子 / 表面グラフト / 多分岐ポリアミドアミン / イソシアナート基 / 光安定剤 / 固定化 / アンカー効果 / 溶出特性 |
Research Abstract |
本年度は(1)二つの方法によるシリカナノ粒子表面への光安定剤の固定化と、(2)光安定剤固定化シリカの紫外線吸収能力、及び光安定剤固定化シリカを充填したエポキシ樹脂からの光安定剤の溶出特性について検討した。研究成果の概要は以下のとおりである。 (1)シリカナノ粒子表面へグラフトした多分岐ポリアミドアミングラフト鎖末端のアミノ基をイソシアナート基へ変換し、ついで光安定剤(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン)を反応させると、粒子表面へ光安定剤が固定化できることが分かった。 (2)ペンダントにイソシアナート基を持つポリマーをグラフトしたシリカに光安定剤を反応させることによっても粒子表面へ光安定剤が固定化できることが分かった。 (3)光安定剤を固定化したシリカは紫外線吸収性を示すことを明らかにした。また、光安定剤を固定化したシリカはエポキシ樹脂などの各種樹脂中へ均一に分散することが分かった。 (4)遊離の光安定剤を添加したエポキシ樹脂からは、水中へ光安定剤が短時間の内に容易に溶出するのに対して、光安定剤を固定化したシリカを添加したエポキシ樹脂からの光安定剤の溶出はほとんど認められなかった。したがって、シリカナノ粒子がエポキシ樹脂中で有効なアンカーとして作用することが明らかとなった。 (5)遊離の光安定剤を添加すると、エポキシ樹脂のガラス転移温度が低下するのに対しいて、光安定剤を固定化したシリカを添加しても、エポキシ樹脂のガラス転移温度の低下はほとんど認められなかった。したがって、シリカナノ粒子表面への光安定剤の固定化は新規高分子材料開発に当たって、非常に有効な手段となることが実証された。
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