Research Abstract |
本研究は,核発生を利用して様々な成分を結晶核でカプセリングする方法を開発するための基礎研究であり,1) カプセリング現象の把握と操作,2) 脱カプセリング現象の把握と操作に分けられる. カプセリング操作でのポイントは,非カプセリング成分を結晶核の芯にすること,非カプセリング成分に対して結晶核カプセル成分,溶媒,貧溶媒から成る溶液環境を強力な熱力学溶液モデルにより推定すること,微小液滴相とバルク溶液相の混合操作方法にあると考えている. 脱カプセリング操作でのポイントは,いろいろな溶液環境におけるカプセルの温感性を測定し,人工的に超高圧,放射線,超音波,電磁波などによる結晶核カプセルの分解性能にあると考えている. 平成21年度の研究では,非カプセリング成分を水溶性電解質である硝酸アンモニウムとし,結晶核カプセル成分を脂肪酸であるパルミチン酸とした。溶媒にはエタノールと揮発性の液化ガスであるジメチルエーテル(DME)の混合物を使用した. DMEの揮発性を利用したスプレー晶析法の実験結果では,乾燥した100-300μmの結晶粒子を得た.その結晶粒子は,パルミチン酸と硝酸アンモニウムの混合結晶であり,溶液中の原料濃度により調整可能であった.また,溶液中の硝酸アンモニウム濃度よりも混合結晶中のアンモニウム濃度は若干小さくなる傾向が見られた. 一方,分子動力学による貧溶媒晶析法のアルゴリズムを検討した結果,3成分系のNPTアンサンブルにより,貧溶媒成分の添加で良溶媒中からの結晶化成分の構造化を検討できた.貧溶媒効果や貧溶媒濃度により,液液相分離から結晶化への変化を観察することができた.
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