2009 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ移植を手法としたサンゴ群集回復に関する野外実験
Project/Area Number |
21570021
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)
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Keywords | サンゴ群集 / 保全 / 海草 / 魚類 / サンゴ礁 |
Research Abstract |
ウスエダミドリイシを材料として、野外でケージ実験を実施した。検証した仮説は「藻食性魚類をケージで排除すると、藻類が繁茂し、移植サンゴ片の生存・成長が阻害される」と、「ケージなしでは魚類の捕食により、移植サンゴ片の生存・成長が阻害される」であった。ウスエダミドリイシ5元群体を採取し、元群体を識別して、各元群体から長さ2cmの枝をニッパー切り取り、サンゴ片を、(1)ケージなし(コントロール:魚類の影響がある条件でのサンゴの生存と成長を評価)、(2)ケージありで海藻は除去しない(魚類の影響がない条件で、サンゴと海藻の競争を評価)、(3)ケージありで海藻を除去する(魚類と海藻の影響がない条件で、サンゴの生存と成長を評価)の各処理に、1元群体当たり10個をランダムに選定し、振り分けて移植した。ケージはプラスチック製2cm目で、鉄枠を海底に設置し、枠にケージを固定した。移植後2週間に一度サンゴ片の生存を確認し、1ヶ月に一度、写真撮影と直接計測によって成長を追跡した。結果は、処理(1)で移植したサンゴ片が全て死亡し、(2)と(3)ではサンゴ片の生存率は高かったが、(2)と(3)で生存と成長に差が認められなかった。処理(1)でのサンゴ片の死亡は、夏季の高水温と強い光による白化によるものと考えられたため、結果は仮説を支持しなかった。 サンゴ片をサンゴ群集の回復の程度が異なる地点に移植する実験実施のベースラインデータを得るために、瀬底島周辺海域10地点でサンゴ群集の調査を実施した。その結果、3地点ではサンゴ群集の回復が極めて良好で、2地点では中程度、5地点ではほとんど回復が進んでいないことが明らかとなった。また、回復が良好な地点でも、1998年のサンゴの大規模白化による大量死亡前と比較し、種組成に変化がある地点もあった。
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Research Products
(6 results)