2009 Fiscal Year Annual Research Report
オオバギ(トウダイグサ科)と花序で繁殖するヒメハナカメムシの送粉共生の起源
Project/Area Number |
21570028
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
酒井 章子 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 准教授 (30361306)
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Keywords | トウダイグサ科 / オオバギ属 / 送粉 / 植物繁殖生態 / カメムシ / アザミウマ |
Research Abstract |
本課題の活動として、当該年度には以下の2点に主に取り組んだ。 1.オオバギ属における送粉者と防衛アリの相互作用 おもにマレーシア・サラワク州ランビル国立公園で、送粉者と防衛アリの相互作用について観察を行った。その結果、種にもよるが、アリの密度の高いアリ植物種については、花芽や未成熟果実の防衛のために積極的にアリを誘引するメカニズムが存在することを明らかにした。しかし、開花期間中は、アリを誘引している報酬が分泌されず、アリの密度は著しく低かった。またアリを忌避する効果があると考えられている匂い物質も検出されている。したがって、オオバギ属は送粉者を妨げる可能性のある防衛アリを開花期間中は遠ざけていることが示唆された。 2.近縁属アカメガシワ属2種の送粉生態 オオバギ属における送粉者の進化を考える上で、近縁種がどのような送粉様式をもっているのかを明らかにすることは重要である。当該年度、日本に広く分布するアカメガシワとランビル国立公園に分布するMallotus wrayiiの送粉様式を明らかにした。興味深いことに、両者とも風と昆虫両方を花粉媒介に用いる特異な送粉様式を持っていた。昆虫の中では、ハチ類、ハエ・アブ類が送粉に重要であった。一方、アザミウマやカメムシ類も雄花序には多く見られたが、送粉者としての寄与は限定的であった。 2.については学会で発表を行ったほか、論文執筆に向けて準備中である。また、本課題の進行状況について国際林冠学会で発表をおこなった。
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