2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570075
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本川 達雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80092352)
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Keywords | キャッチ結合組織 / 棘皮動物 / ナマコ / 硬化因子 / 硬さ |
Research Abstract |
ナマコのキャッチ結合組織は3つの状態(軟らかい状態、標準状態、硬い状態)をとる。硬い状態においては、体の保護や姿勢を保つ役割をはたす。クリイロナマコ真皮を使って硬くなった時のエネルギー消費量を測定した結果から、キャッチ結合組織を用いた姿勢制御は省エネだと結論されてきた。では軟らかくなる時のエネルギー消費量はどうなのだろうか?シカクナマコ真皮は機械刺激の大きさにより、標準状態から硬い状態にも、標準状態から軟らかい状態にもすることができる。そこで、これを用いて3状態でのエネルギー消費量を求めた。エネルギー消費量は酸素消費量を指標とした。15%圧縮ひずみを1Hzで90秒間与えると、標準状態の真皮は硬くなった。80%の単一圧縮ひずみを180秒間与えると軟らかくなった。刺激下での酸素消費率(平均±SD、単位μLO_2/h/g)は、標準状態1.14±0.60,硬い状態2.20±0.80,軟らかい状態12.52±40.47であった。硬い状態の方が軟らかい状態よりエネルギー消費量が少ない上に、軟らかい状態でも、筋肉の収縮時に比べてはるかにエネルギー消費量の少なく、やはり、キャッチ結合組織による姿勢維持は筋肉によるより省エネであるという仮説が検証された。 ニセクロナマコ体壁真皮より、真皮を硬くするタンパクを新たに見いだした。これまで軟らかい状態から標準状態へと硬さを増大させるタンパクとしてテンシリンが報告されていたが、新発見のタンパクは標準状態の真皮を硬くする真の硬化因子である。テンシリンはCa^<2+>欠如海水中でしか効果をもたないが、このタンパクはCa^<2+>存在中でも効果をもつ。ゲル濾過からの推定分子量は約2.4kDaであり、テンシリンよりかなり小さなタンパク質だった。
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Research Products
(8 results)