2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハラホソバチ類における社会性進化の系統学的・生物地理学的研究
Project/Area Number |
21570088
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小島 純一 茨城大学, 理学部, 教授 (00192576)
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Keywords | 自然史 / 生物地理 / 社会性進化 / 系統関係 / スズメバチ科 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スズメバチ科(Vespidae)における社会性進化を考察する上で鍵となるハラホソバチ亜科(Stenogastrinae)について、(1)形態・分子データの解析に基づき本亜科全7属の信頼性の高い系統関係仮説を提唱すること、(2)南アジアに5属、パプア地域に2属と分断された分布パターンの成立過程を、本亜科の起源地の推定も含めて、系統仮説を参照しながら考察すること、(3)本亜科にみられる多様な巣構造の進化過程を系統仮説を参照しながら考察すること、そして(4)本亜科にみられる多様な社会性にかかわる特徴の「進化上の極性」(原始的か、派生的か)を生息環境への適応も含めて考察することである。 平成23年度には、まず平成22年度までに得た成虫形態、幼虫形態、巣構造、DNAシークエンス、ならびに社会行動も含めた行動形質からなるタクサ×形質マトリックスを完成させた。そのタクサ×形質マトリックスを用いて最節約法による解析を行い、ハラホソバチ亜科の属間の系統関係仮説として((Parischnogaster + (Metsischnogaster + Cochlischnogaster)) + (Eustenogaster + (Stenogaster + Anischnogaster + Liostenogaster)))を得た。 系統樹上に巣構造ならびに社会行動の形質をプロットし、最適化解析を行なったところ、次のことが示された。(1)巣材として植物繊維を使用するのが原始的であり、Liostenogasterの一部の種で二次的に泥の使用が進化した。(2)アリの攻撃への防御として、巣基部の傘状の構造物が原始的であり、粘性の分泌物の使用、外被の構築が独立に進化した。(3)Eustenogasterにおける外被構築の進化に伴って、ワーカーを欠き、巣内の成虫は創設メス単独という生活史が二次的に生じてきた。
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Research Products
(2 results)