2011 Fiscal Year Annual Research Report
苔類ツキヌキゴケ科の多様性と初期個体発生に基づく種分化
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21570104
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
古木 達郎 千葉県立中央博物館, 自然誌歴史研究部, 科長 (40250146)
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Keywords | コケ植物 / タイ類 / ツキヌキゴケ科 / 多様性 / 種分化 |
Research Abstract |
トサホラゴケモドキCalypogeia tosana(Steph.)Steph.は日本及びハワイ諸島などに広く分布しており、葉形が多型であることが知られている。そこで、今回、タイプ標本と多くの標本を調べ、分類学的に検討した。その結果、タイプ標本には2型が混生しており、従来タイプ標本とされている概念は、原記載の図と概念とは異なることを日本蘚苔類学会で発表した。従来タイプ標本とされていた概念の種は、タイプ種とは同種であるとする見解や、変種とする見解などがあるもので、研究者によって見解が異なっていた。しかし、形態学的に明らかに分けられる種であることが分かった。また、トサホラゴケモドキはハワイ諸島からも知られているが、ハワイからは多くの種が記載されていることから、ハワイ産の種を重点的に調べ、研究を発展される。 更に、昨年度に重点的に研究したミドリホラゴケモドキCalypogeia granulata Inoueについても再検討を重ねた。本種のタイプ産地である埼玉県越生町において採集した植物体と、マレーシアマレー半島及びボルネオ島産の植物体を調べた。その結果、昨年度出していた結論とは異なる結果が明らかになった。ミドリホラゴケモドキは、東南アジアから記載されているC. apiculataと同種であると考えていたが、別種であること、更に、フジホラゴケモドキCalypogeia fujisana InoueがC. apiculataと近縁であり、同種である可能性が示唆された。その為、24年度はフジホラゴケモドキについて更に研究を進めなくては鳴らない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は胞子の培養を予定していたが、胞子の採集が非常に難しく、無性芽の培養を試みているが、コンタミなどにより順調に進んでいない。 また、国内外のタイプ標本の借用を行う予定であったが、多くのタイプが外国の研究者によって貸し出されており、研究出来ない状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これらの状況を踏まえて、無性芽の培養とタイプ標本の研究に重点を置き、研究を進める。タイプ標本の研究が進み次第、分類学的な研究を論文として発表する予定である。
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Research Products
(2 results)