2009 Fiscal Year Annual Research Report
カサアブラムシの虫こぶを用いたトウヒ属の古植物学的分類システムの構築
Project/Area Number |
21570107
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
初宿 成彦 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (80260347)
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Keywords | エゾマツ / トウヒ / アカエゾマツ / イラモミ / ヤツガタケトウヒ / ヒメバラモミ / ハリモミ / カサアブラムシ |
Research Abstract |
北海道、本州、四国、九州において、日本産トウヒ属6種(エゾマッ・トウヒ、アカエゾマツ、イラモミ、ヤツガタケトウヒ、ヒメバラモミ、ハリモミ)および外国産1種(シトカトウヒ)について、カサアブラムシ類の虫こぶの調査を行った。その結果、すべての樹種で虫こぶを見つけることができた。とりわけ、イラモミ、ヤツガタケトウヒ、ヒメバラモミについては、虫こぶが形成されること自体がこれまで報告されておらず、新しい知見となった。 ハリモミ樹上に形成されるハリモミヒメカサアブラムシについては、分布未記録の九州でも1,500mの高標高地で発見され、九州初記録となったほか、四国でも高標高地で新産地を発見することができた。西日本(紀伊半島、四国、九州)のハリモミヒメカサアブラムシの虫こぶは相対的に小さく、東日本(栃木県、山梨県)ほど大きい傾向が見られたので、大きさの計測し、それらの違いについて、関西自然保護機構2010年度大会においてポスター発表を行った。温暖な地域(山梨県低地、近畿・四国・九州の標高1500m以下)ではハリモミや二次寄主のツガがあっても、同種の虫こぶが形成されないことから、気温が温暖な地域では、捕食者等の存在が強く、うまく虫こぶ形成が出来ていないのではないかと考えている。 見つかった各トウヒ類樹上の虫こぶの形状については現在、スケッチの作業等を行っている。当初の目論見どおり、虫こぶだけで樹種を特定できるほど、相互に形状が異なっていることがわかり、虫こぶの化石による寄主樹種の特定という最終目標へ、順調に進めることができている。
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Research Products
(1 results)