2010 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の高浸透圧応答性MAPK経路におけるリン酸化、脱リン酸化を介した活性制御機構
Project/Area Number |
21570131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘林 和夫 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50272498)
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Keywords | 出芽酵母 / 高浸透圧 / リン酸化 / HOG経路 / 擬菌系経路 / 蛋白質相互作用 / グルコース / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
出芽酵母のHOG経路は高浸透圧により活性化され、高浸透圧適応に関わるストレス応答性MAPK経路である。HOG経路のSHO1上流支経路活性化にはStellの膜移行が必須であるが、これはStell結合蛋白質であるSte50と膜蛋白質であるOpy2との結合を介して起こる。従ってSte50とOpy2の結合を制御することで、HOG経路の活性化のオン、オフ制御が可能である。我々は昨年、MAPキナーゼによるSte50のフィードバックリン酸化を介したSte50-Opy2の結合解除が、HOG経路の負の制御に働くことを示したが、今年度、Ste50-Opy2の結合性はSte50だけではなくOpy2のリン酸化によっても制御されることを明らかにした。Opy2にはSte50との結合領域が3カ所(A,B,及びマイナーな結合部位のD)存在することがわかったが、このうちBはグルコース存在下、カゼインキナーゼのYck1/2によってリン酸化され、リン酸化依存的にSte50と結合し、AとDは主としてグルコース非存在下Ste50と結合し、HOG経路の活性化に働くことが明らかになった。さらにSte50-Opy2結合はHOG経路のみでなく、低栄養環境で活性化される擬菌糸MAPK経路にも必須であり、この場合はAでの結合のみが必要であることを明らかにした。したがって、栄養環境に応じて結合部位(結合様式)を変えるSte50とOpy2の結合は、細胞が栄養環境と浸透圧環境をモニターし、その情報を統合した上でHOG経路あるいは擬菌糸経路を適切に活性化するうえで、極めて重要な制御点になっていることがわかった。
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Research Products
(2 results)