2010 Fiscal Year Annual Research Report
性決定元祖遺伝子の双方向進化 ー精巣および卵巣決定ー
Project/Area Number |
21570239
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三浦 郁夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10173973)
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Keywords | 性決定 / SRY / 卵巣決定 / SOX3 |
Research Abstract |
SOX3遺伝子は哺乳類の精巣決定遺伝子SRYの元祖遺伝子として知られるが、ツチガエルのZZ/ZW型性染色体をもつ1つの地域集団では、SOX3がZW性染色体上に存在し、しかもZW幼生の生殖腺で強く発現する。このことから、哺乳類とは逆に卵巣決定機能が示唆されている。そこで、本年度は、ツチガエルSOX3遺伝子の発現について、とくに発生に伴う生殖腺での発現解析を中心に行った。ZW集団の新潟と金沢の2つの集団を用いて、SOX3遺伝子を中心に10個の性分化関連遺伝子の発現を定量的PCRで解析した。その結果、ツチガエルの生殖腺の性分化指標マーカーとしてCyp17とCyp19遺伝子があるが、SOX3の雌での高発現はこの2つの遺伝子の雌雄差発現が開始する以前に起こり、それぞれより2日~4日早く開始していた。ただし、金沢ではSOX3が15日目に一度雄での高い発現を示した。次に、XX/XY型性染色体をもつ浜松の集団で同様の遺伝子解析を行ったところ、SOX3は発生の早い時期(15-19日)には雌で発現が高く、Cyp19開始の16日目より先行していたが、20-24日目には逆に雄で発現が高いという2面的発現を示した。以上の結果から、SOX3はツチガエルにおいて、卵巣、精巣の両方の性分化に関与していることが示唆された。なお、W-SOX3 Promoter+EGFPのトランスジェニックガエルを作成したところ、ふ化後の腹部にシグナルが観察されたが、生殖腺には目立ったシグナルが見られなかった。
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Research Products
(6 results)