2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570246
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
藤田 尚 Niigata College of Nursing, 看護学部, 准教授 (40278007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 隆雄 国立長寿医療センター, 研究所, 所長 (30154545)
橋本 裕子 奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (90416412)
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Keywords | 人類学 / 韓国 / 日本人の起源 / モンゴロイド / 古人骨 / 古病理学 / 縄文時代 / 弥生時代 |
Research Abstract |
日本人の起源あるいは、日本人の形成史の問題は、わが国では人類学上の重要な課題である。前回の科研費補助金では、日本の弥生時代中期に相当する、韓国勒島貝塚人骨の形質人類学的研究を行い、勒島人骨と、日本の北部九州・山口県出土の渡来系弥生時代人の類似性を明らかにした。これは、渡来系の弥生人らが、韓半島から日本にやってきたことの初の科学的証明であり、大きな成果であったと言える。平成21年度からの「韓国出土古人骨の形質人類学的研究」では、韓半島の出土人骨の年代幅を大幅に広げ、日本の縄文時代相当期の古人骨や、高麗時代の古人骨までを対象とし、韓半島、日本、更には東アジアでのモンゴロイドの形成史を明らかにすることを目的としている。初年度である、平成21年度は、韓国晋州国立博物館所蔵の、煙臺島人骨の調査を行った。同人骨は、約6000年BPの年代が与えられており、日本の縄文時代に相当する。1993年に小片ちが、同人骨を縄文人的特徴があると報告しており、今回の調査では、更に未報告であった、歯冠計測値などのデータも取得された。頭蓋計測値を日本の縄文時代人、韓国勒島貝塚人と比較すると、縄文人的な形質を持ちながらも、既に4000年後の勒島人骨と共通する形質も見られた。このことから、日本における渡来系弥生時代人および、日本に弥生時代以降渡来した人々は、弥生時代にどこからか突然出現した集団が日本列島に移入してきたのではなく、6000年前から、既に徐々に後の渡来系弥生時代人的な形質を保持していた集団が、渡釆糸弥生時代人的形質を強めながら、日本列島に移入してきたと考えられる。また、日本の縄文時代人的形質を保持した人々は、韓半島にも生息しており、あるいは東アジアの大部に広く分布していた人々であった可能性の検討も、今後の課題として残された。
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