2010 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ属植物における多胚発生制御遺伝子の同定とその多様化に関する研究
Project/Area Number |
21580005
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大村 三男 静岡大学, 農学部, 教授 (90355397)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 育種 / 発生・分化 |
Research Abstract |
植物の繁殖に重要な役割をもつ無性胚発生に関して、その発生を制御する遺伝子は同定されていない。本研究ではカンキツの珠心胚発生に関わる遺伝子を対象として、その単離と同定を目的に研究を行った。そのためのアプローチとして、連鎖地図に基づくポジショナルクローニングと珠心胚分化過程における遺伝子発現のプロフィール比較の手法を適用した。多胚性制御遺伝子の座乗するカンキツ第1連鎖群上のゲノム領域について、多胚性ハプロタイプを担架するBACクローンにより380kbの配列を決定した。この領域には遺伝子配列予測(RICEGAAS)により72の候補遺伝子ORFが予測された。対象遺伝子を限定するため、本年度は単胚性ハプロタイプを担架するBACクローンの塩基配列決定を行い、ハプロタイプ間の構造差を解析することで候補遺伝子の絞り込みを行った。この領域についてヘテロ接合型である'宮川早生'に由来するBACライブラリーから、単胚ハプロタイプを構成する3クローンを選抜し、新型シーケンサーによる配列決定を行った。得られた66,514の塩基配列について、多胚ハプロタイプ配列を参照してアセンブルし,単一のコンティグを得た。このコンティグ配列は、多胚配列全長の87%をカバーした。単胚ハプロタイプに予測されたORF配列には、エクソンーイントロン結合配列の変異、終止コドンの生成など遺伝子の構造の関わる変異が検出された。これらの配列差について、カンキツ品種に適用して胚性との関連解析を行った。次に、予測されたORFのうち、転写に差異が生じると予測される遺伝子を対象にして、多胚性品種および単胚性品種の珠心における発現プロフィールの比較解析を行った。また、転写制御遺伝子について、細胞培養による体細胞胚の発達段階と関連を解析した。これらの知見について学会発表を行い、また、論文を投稿中である。
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