2009 Fiscal Year Annual Research Report
中世禅宗庭園の成立要因に関する研究 -中国臨済宗による思想的背景とその影響-
Project/Area Number |
21580047
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
関西 剛康 Minami Kyusyu University, 環境園芸学部, 准教授 (80461656)
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Keywords | 日本庭園 / 禅宗庭園 / 禅林美術 / 中国思想 / 枯山水 |
Research Abstract |
日本中世の禅宗庭園の成立に関する思想的背景の把握にあたり、主に直接的に影響を与えた中国臨済宗に影響を与えたと考えられる中国士大夫階級の中国古典思想と美学を中心に、資料収集と基礎的な資料分析ならびに研究者間での意見交換による研究指針の調整や確認を行った。今まで禅宗庭園を論じる場合に既往研究の多くは、中国臨済宗の思想基盤にまで遡って研究したものが少なく、かつそこに内在する中国士大夫階級の文化に触れた研究がほとんど見られなかった。そのために、1)日本国内だけではなく中国上海にも赴いて幅広い学域における専門書等の資料収集を行い、ならびに2)その中国文献資料の翻訳を行った。また3)上海交通大学ならびに日本の造園系研究者間で、研究内容等について意見交換を行った。かっ4)実地調査としては、京都市の禅宗庭園ならびに中国上海他の中国庭園を対象に予備調査を行った。この1)~4)の実施により、やはり日本臨済宗を中心として形成された禅宗庭園の文化的背景の中に、中国臨済宗を介して影響された中国士大夫階級の中で解された中国古典思想と美学の一部を理解することができた。次年度は引き続き、上記の研究内容を継承・進捗させる予定である。そして、禅林美術と同様に発達した研究対象である禅宗庭園との成立に関する思想的背景を中心に比較検討することで、今まで造園学の側面から検証していた禅宗庭園を、思想学的および美術史学側面からによる多視点的検証を加えることで、統一した考察結果がでるものと考える。
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