2011 Fiscal Year Annual Research Report
中世禅宗庭園の成立要因に関する研究 -中国臨済宗による思想的背景とその影響-
Project/Area Number |
21580047
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
関西 剛康 南九州大学, 環境園芸学部, 教授 (80461656)
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Keywords | 日本庭園 / 禅宗庭園 / 禅林美術 / 庭園史 / 中世 / 禅 |
Research Abstract |
日本中世の禅宗庭園の成立に関する思想的背景の把握にあたり、平成23年度の研究の目的および実施計画に基づき、下記の内容で実施した。はじめに1)禅林美術である五山文学や詩画軸・障壁画を中心とした山水画等との美術史の既往研究との整合性を整理・検証した。また2)中国臨済宗の影響に関して、日本臨済宗における禅宗庭園の成立期における思想的背景について、特に当時の禅僧が著した目記を主とした文献研究を実施した。そして3)これらの禅林美術と同様に発達した研究対象である禅宗庭園との成立に関する思想的背景を比較検討することで、今まで造園学の側面から検証していた禅宗庭園を、美術史および思想学的側面を加えることで、体系化した考察を行った。 その結果、14世紀後半の禅宗庭園には大きく3つの用途がみられた。主な用途は、第1に禅の修行の場としての境地であったが、さらに第2に倭漢聯句や偈頌を詩作する場としての風雅な境地、そして第3に春の観花や秋の紅葉、冬の雪景色等の花見や眺望景観を楽しむための遊興の境地であり、時には単独で、また時には混在して使用されていた。また調査結果における8項目(座禅・講義・春の花見・秋の紅葉・眺望・庭園観賞・詩作・偈頌)の庭園利用には、禅修行や禅思想によるもののみではなく、中国臨済宗の影響による中国古代文化・芸術や思想による影響の一端が判明した。これらの研究成果についてはすでに学術論文としてまとめており、学会に受理されている。
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