2010 Fiscal Year Annual Research Report
ファージDNAが介在する細胞分化に伴う遺伝子再構築
Project/Area Number |
21580087
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐藤 勉 法政大学, 生命科学部, 教授 (70215812)
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Keywords | 細菌 / ファージ / DNA再編成 / 細胞分化 / 枯草菌 |
Research Abstract |
枯草菌などの有胞子細菌では、母細胞特異的シグマ因子をコードするsigK遺伝子内に挿入されたskin elementが欠失することにより、染色体上にsigKが再構築されることが知られている。前年度の研究によりBacillus weihenstephanensis KBAB4(以下KBAB4)のジピコリン酸をコードすると考えられるspoVFB遺伝子がファージ様ゲノムにより分断されており、胞子形成期に再構築される可能性が示唆された。平成22年度は、KBAB4のDNA再編成のメカニズムについて解析し、以下の結果が得られた。1.KBAB4の培養系を確立し、30℃でDSM培地を用いて培養することにより、胞子形成を誘導することができることを示した。また、培養開始24時間後(T24)の細胞を観察したところ、細胞内に胞子が形成されていることを確認した。2.栄養増殖期(T4)とT24の培養液から染色体DNAを抽出し、PCRによりspoVFBの配置を検討したところsT4ではspoVFBが分断されているが、丁24においては分断されていたspoVFBが再構築されることが示唆された。3.さらに、再構築されるDNA breakpointをシークエンスした結果、分断されていたspoVFBがin-frameで再構築されることが示された。また、ファージ様エレメントの両端には24bpの逆向き反復配列が存在しており、DNA組換え酵素がこの配列を認識することが示唆された。今後は、KBAB4におけるspoVFBとDNA組換え酵素の機能を解析し、ファージDNAが介在するDNA再編成の全容を解明する。
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