2009 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性プラスチックを低温,高圧下で分解する微生物の分解と分解評価法の確立
Project/Area Number |
21580106
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 千明 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (90360750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝子 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究副主幹 (20371734)
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Keywords | 深海微生物 / 生分解性プラスチック / 好圧性微生物 / しんかい6500 / かいこう7000II / Shewanella属 / Moritella属 / 連続加圧培養評価装置 |
Research Abstract |
「しんかい6500」および「かいこう7000II」でそれぞれ千島海溝深度3500~4800m、日本海溝深度5000~7000mの地点から得られた各種底泥サンプルを生分解性プラスチック素材(ポリカプロラクトン;PCL)と一緒にして、4℃、50MPa(約500気圧の圧力に相当)の条件で培養した。低温、高圧状態で生育した微生物群を深海微生物実験システム(DEEP-BATH)などを利用して、13株の異なったPCL分解性微生物が分離された。各分離株は、常法に従い分類学的な指標の一つとされる16SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列を決定し、系統解析した。その結果、好冷・好圧性細菌として報告されている深海性のShewanella属、Moritella属に含まれる微生物が11株あることがわかり、さらに詳細な検討を行った結果、この11株の中から2種の新種の微生物が含まれていることが明らかとなった。現在これらの分離株のより詳細な分類学的検討が進行中である。これらの分離株は、いずれも低温・高圧下の状態で良好に生育し、深海の過酷な環境においてもPCL等の生プラ素材を分解できることが示唆された。 これらの好冷・好圧性の生分解性プラスチック分解菌を利用した、加圧下での連続培養のシステムを構築するため、「連続加圧培養評価装置」を制作し、現在動作試験を開始したところである。 更に、新規分離株からPCLのエステル構造を分断する酵素を見いだし、同酵素の精製を行った。精製された酵素の各圧力下での活性を比較したところ、高圧側にその活性至適圧力がある事が判明し、好圧酵素であることが明らかとなった。
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