2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品の消化に伴って生じる消化管粘膜維持因子に関する研究
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21580141
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 保 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90258301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳村 彰 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00035560)
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Keywords | 食品 / 消化管 / 粘膜上皮細胞 / 創傷治癒 / リゾボスファチジン酸 / 抗消化性潰瘍 |
Research Abstract |
ある種の野菜には創傷治癒促進因子のリゾボスファチジン酸(LPA)が豊富に含まれ、LPAがストレス惹起性の胃潰瘍を抑制するという我々の研究結果より、我々は食物やその消化物に消化管粘膜維持因子が複数種存在する、との仮説を立てた。この仮説に基づき、主に脂質やその消化物の生理活性を調べてきた。一昨年度はキャベツ脂質に含まれているリゾボスファチジルイノシトールが細胞遊走促進活性を示すことを明らかにした。さらに、TLC上未知バンドとして検出されたリン脂質をフィトセラミド-1-リン酸(PC1P)と構造決定できた。昨年度はキャベツに含まれるPC1Pの生合成経路と生理活性を調べた。その結果、PC1Pの前駆体はグリコシルイノシトールボスホセラミド(GIPC)の可能性が高く、キャベツ葉組織のホモジナイズ時に活性化する何らかの水解酵素によって生じる可能性が高いこと、PC1PにはSwiss 3T3繊維芽細胞を遊走させる活性があることが判明した。一方、LPAの胃粘膜(KatoIII)に対する作用についても解析を続け、LPAが胃粘膜由来KatoIII細胞の増殖を誘導すると共に、I型ムチンのmRNAをアップレギュレートすることを見出した。さらに、アスピリン誘導性の胃潰瘍に対する種々の脂質の影響を調べた結果、ホスファチジン酸(PA)やLPAに抗潰瘍効果が認められた。今年度はPAの抗潰瘍効果をさらに調べると共に、食事として摂取するPC1Pや胃腸粘膜で生合成されるPC1Pが粘膜維持因子となる可能性を検討する。
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Research Products
(9 results)