2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品の消化に伴って生じる消化管粘膜維持因子に関する研究
Project/Area Number |
21580141
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 保 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90258301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳村 彰 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00035560)
|
Keywords | 食品 / 消化管粘膜保護 / ホスファチジン酸 / 抗潰瘍 / リン脂質 / セラミド1-リン酸 |
Research Abstract |
消化管が食物と接しない状況が長く続くと消化管粘膜の萎縮がおこる。このことは消化管粘膜が食物あるいはその消化物との接触を通じてその機能を維持していることを示すのかもしれない。我々は食物由来の消化管粘膜維持因子を想定し、研究を行ってきた。本年度は植物脂質に豊富に含まれるリゾホスファチジン酸(LPA)とそのジアシル体のホスファチジン酸(PA)の胃粘膜保護作用を調べた。また、この研究の過程でキャベツ脂質に見出された新規脂質フィトセラミド1-リン酸(PC1P)の生理活性どその生合成経路についても調べた。 マウスに惹起させたアスピリン潰瘍に対する保護効果を調べた結果、遊離脂肪酸、トリグリセリドおよびリゾホスファチジルコリン(LPC)は無効であったが、LPAとPAには抗潰瘍効果が認められた。16:0LPAと18:1LPAは共に1mMで抗潰瘍効果を発揮し、0.1mMでその効果は消失するのに対し、PAは0.1mMでも効果を有し、アスピリン潰瘍を約半分程度にまで抑えた。また、LPA2受容体が胃内に発現していることが確認された。既に確認されたPAがLPAに胃内で変換されることと考え合わせるとPAの効果の一部はLPA2受容体を介しているものと推測された。 一方、Swiss3T3線維芽細胞に対するPC1Pの生理活性について調べたところ、PC1Pが1-3μMにて血清飢餓あるいはUV照射によって誘導される細胞死を抑制することを見出した。さらに、PC1Pの生合成経路について調べた結果、グルコシルイノシトールホスホセラミドの分解で生じることが明らかになった。PC1Pも消化管粘膜に作用する可能性があると考え、今後の消化管に及ぼす作用や代謝運命を検討する予定ある。
|
Research Products
(9 results)