2011 Fiscal Year Annual Research Report
非肝臓組織におけるパンテテイン-コエンザイムA生合成経路の解明とその役割
Project/Area Number |
21580149
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
柴田 克己 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40131479)
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Keywords | パントテン酸 / CoA / ビタミン / CoAの分析 / パンテチン / パンテテイン / HPLC / アセチルCoA |
Research Abstract |
【背景】ヒトが加齢に伴って増加する蠕動運動低下による便秘ならびに高脂血症の原因の一つとして,「肝臓におけるパントテン酸からCoAへの生合成能力の低下がある」という申請者の仮説を,まずラットを用いて証明する.成果は,ヒト高齢者における蠕動運動低下改善と高脂血症改善に対して,「パントテン酸の投与では効果が低いが,パンテテインの投与では効果が高い」という仮説を証明するための介入試験の先行実験となることである. 【昨年度までの成果】昨年度までの実績により,CoA,デポスホCoA,およびアセチルCoAを分別定量できる高速液体クロマトグラフ法を開発することができた. 【本年度の目的】この方法を駆使して,in vivo系でパントテン酸とパンテテインのCoA生合成能力の比較を行うことにした. 【実験方法】ラットを幼若期から47日間パントテン酸欠乏食を与えて臓器中CoA濃度を低下させたラットを,パントテン酸投与群(PaA群)とパンテチン投与群(PaSS群)に分けて,7日間の回復実験を行った.この間の体重,体重増加量を測定し,7日間後にとさつし,各種臓器中のCoA,デボスホCoA,アセチルCoA量を比較した.同時に弛緩性便秘からの回復度との関連をみた. 【結果】体重増加量の回復速度はPaA群とPaSS群間では差が認められなかった.臓器中CoA濃度なども,PaA群とPaSS群の間に差は認められなかった.このことから,幼若期から47日間PaA欠乏状態にしたラットでは,PaA投与とPaSS投与で差が見られず,PaA欠乏による臓器中CoA濃度回復にPaAを投与すれば,PaSSに劣らない効果が得られるということが明らかとなった.つまり,幼若期から47日間PaA欠乏ラットの臓器中CoA回復において,PaAはPaSSと当価の生体有効性を有することが明らかとなった.
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