2011 Fiscal Year Annual Research Report
瀬戸内海沿岸漁獲物の需要拡大に寄与する水産物流通・消費のあり方の検討
Project/Area Number |
21580271
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢野 泉 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (90289265)
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Keywords | 瀬戸内海沿岸漁獲物 / 水産物消費 / 消費の地域性 / 加工水産物 / 調理技術 / 水産物卸売市場 / インタビュー調査 / プロトコル分析 |
Research Abstract |
最終年度は、第1に、初年度・2年度に行ったアンケートの分析と、それを基とするインタビュー調査・分析により、瀬戸内海沿岸地域における水産物消費の課題を検討した。また、地元卸売市場における瀬戸内海沿岸漁獲物の評価と、大都市卸売市場における評価の比較等を検討した。 その結果、第1の検討課題については、アンケート調査から瀬戸内海沿岸の地場産水産物を消費する地域の都市消費者層の傾向として、加工水産物ではなく鮮魚そのものの消費する傾向が高いこと等が明らかになった。さらに、実際の魚調理と同時進行でのインタビューを行うことによって、調理慣れしている人とそうでない人の水産物の商品性に対する違いが明らかになった。後者については、大都市においては取扱量も少なく、一部魚種を除いて評価も低く、消費の地域性(食文化の違い)もあり、今後も他大都市においての需要が拡大する余地は小さいことが確認された。 また最終的に研究期間を通じての研究成果のとりまとめを行った。主な成果として、第1に消費過程の特徴として、水産物の消費は地域性が強く、さらに地域内において水産物の消費頻度の多い層ほど地場産の鮮魚を未加工で購買・消費する傾向、多様な方法で消費する傾向が明らかになった。第2に消費過程における消費拡大の要件の一つとして、家庭における生産過程を理解する教育として内食(家庭内での調理)が有効であることを明らかにした。第3に、供給サイドの課題として、瀬戸内海沿岸漁獲物の販路としては、地元消費者をターゲットとして質の高い鮮魚を提供する形で展開していくことが有望であることが明らかになった。そのためにも、広島県であれば、広島市中央卸売市場をはじめとする消費地立地型水産物卸売市場においては、近隣の産地立地型水産物卸売市場との連携により、鮮度のよい地場産水産物の取り扱いを強化することが求められる。
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