2009 Fiscal Year Annual Research Report
農業経営の法人化における法制度上の問題点に関する研究
Project/Area Number |
21580280
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
木原 高治 Tokyo University of Agriculture, 国際食料情報学部, 准教授 (50234331)
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Keywords | 農業生産法人 / 村落維持 / 農地保全 / 商法 / 会社法 / 株式会社 / 有限会社 |
Research Abstract |
本年度は、研究目的に示したように、農業経営の法人化の実態を探るため、国内3ヵ所の農業生産法人及び1ヵ所の養鶏関連の法人の聞き取り調査を行った。対象とした農業生産法人の形態は、2法人が株式会社、1法人が有限会社、養鶏関連法人は有限会社であった。また、2法人は中山間地に位置している。 商法、会社法上の法人は、いわゆる営利社団法人として規定されているとおり利益分配を含む意味での営利性を有している。この点は経済学が示す企業の目的概念とほぼ重複するものと考えられる。しかしながら、実態調査を通して得られたのは、農業生産法人の設立目的が、いわゆる営利性の追求にとどまらず、農村の過疎化、高齢化にともなう地域社会(村落)の維持、農地保全、環境保全等を目的とした地域への貢献が主たる目的となっていることが明らかになった。 農業分野にとどまらず、今後、いわゆる商法・会社法上の会社制度を用いて社会貢献や地域貢献を図るような場面が増えてくる可能性があると思われるが、そういった場合に、商法・会社法の枠での対応のみでよいかは検討の余地がある。一方で、公開会社法の制定が取りざたされているが、小規模会社は今後、極めて多様な目的のために利用される可能性があり、それに向けた法整備も個別産業ごとに必要でないかと考えられる。 以上の視点を農業に向けた場合に、村落維持、農地保全、環境保護等を目的とする農業生産法人については特定目的の法人企業として、広く農業法の枠の中で検討されるべきではないかと思われる。
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