Research Abstract |
平成21,22年度の研究においては,収穫したその場で品質評価を行うロボットシステムの改良を行った。マシンビジョンにおいては,果実の形状を詳細に表現するパラメータ(果実長,最大幅,曲がり,先細り,疑似体積など)が抽出可能となるアルゴリズムを改良した。また,果実収穫した株の特定には,ロボットの車輪と連動する距離センサ,および各株に装着したICタグ(株番号付き)をロボットが無線で通信する二通りの方法を比較した結果,非接触で株を特定できるICタグの有効性を確認した。実験ではあらかじめ株番号を保存したICタグをそれぞれの株に装着しておき,果実収穫が行われた株の番号をロボットに搭載したリーダ・ライタおよびアンテナを介して無線で読み取った。実験の結果,ICタグとの通信は良好に行われ,ロボットも問題なく作動し,改良したマシンビジョンアルゴリズムによって各果実のパラメータも抽出できた。 平成22年度までの実験では,株を特定することのみにICタグを用いていたが,最終年度の研究においては,ICタグの情報に汎用性を付加することを検討した。移動型選果ロボットを管理作業用ロボットに見立てて,ICタグへの情報の入出力を想定した模擬実験を行った。たとえば,移動型選果ロボットによる作業中に,ある株に発生する病気を発見したと想定し,対象株のICタグに「病気発生」のメッセージを入力する。その後,防除作業を想定したロボットがその株の前を通過したときに,ロボットが自動的にICタグと通信を行い,防除を行うべき株が存在することを作業者に知らせる。その株に対して防除が行われると,防除履歴(日時薬剤の種類など)がICタグに保存される。これらの模擬実験の結果,ICタグを介した情報の入出力は良好に行われ,本ロボットシステムを管理作業に応用することの可能性が確認された。
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