2009 Fiscal Year Annual Research Report
なぜクマは肥満でも脂肪肝にならないのか?-冬眠前時期の体脂肪蓄積メカニズムの解明
Project/Area Number |
21580355
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪田 敏男 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10207441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下鶴 倫人 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (50507168)
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Keywords | クマ / 冬眠 / 肥満 / 体脂肪 / グルコース / 静注負荷試験 / インスリン / 脂肪肝 |
Research Abstract |
本研究では、なせクマは体脂肪率30~40%の肥満状態でも脂肪肝や高脂血症を発症しないのかその特徴的な体脂肪蓄積メカニズムを明らかにすることを目的にして次のような実験を行った。 実験は、秋田県北秋田市マタギの里阿仁クマ牧場において、6月~11月にかけて行った。1回の実験に4頭のツキノワグマを用いた。塩酸チレタミンと塩酸ゾラゼパムの混合薬(Zoletil 100、Virbac、フランス)4mg/kgと塩酸メデトミジン(ドミトール、明治製菓)0.03mg/kgにより不動化を行い、麻酔状態下で以下のサンプリングおよび実験を行った。なお、使用したツキノワグマは前日の夕方5:00以降は絶食状態とした。 1)体重およびの体長の測定 冬眠前の体重の変動は体脂肪量の変動によるものとわかっているので、毎回体重を測定した。また、今後ボディコンディションスコアを得るための基礎データとして体長なども計測した。その結果、体重は6月から徐々に増加し、11月にピークとなった。11月下旬には冬眠に入り、体重は減少に向かった。 2)グルコースの投与と0~180分までの血中グルコースおよびインスリン濃度測定 グルコース投与前に血中グルコース、インスリン、中性脂肪、コレステロールおよに遊離脂肪酸濃度を測定した。グルコース投与後0~180後までおよそ30分間隔で血中グルコースおよびインスリン濃度を測定した。その結果、グルコース投与後血中グルコース濃度は一過性に上昇した後、徐々に減少し180後にはおよそ基底値まで減少した。ただし、減少のスピードや程度は個体差が大きく一定の傾向はみられなかった。一方、血中インスリン濃度はおよそ60分後から上昇しだし、高血糖に対する反応の遅さが際立ったが、これは麻酔に使った塩酸メデトミジンによる影響と判断された。今後は麻酔薬を変えて、インスリンへの影響を抑えた条件でのグルコース静注負荷試験を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)