2009 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における牛消化管内線虫の駆虫薬剤耐性に関する研究
Project/Area Number |
21580382
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
工藤 上 Kitasato University, 獣医学部, 准教授 (20153306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 隆 北里大学, 獣医学部, 教授 (80050665)
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Keywords | 牛 / 消化管内線虫 / 薬剤耐性 / イベルメクチン |
Research Abstract |
2009年5月~2009年10月の期間に、青森県内の放牧肥育農場2カ所(A、B農場)と慣行肥育農場1カ所(C農場)において、日本短角種(A,B農場)および黒毛和種(C農場)の肥育牛各16~20頭を対象に、イベルメクチンポアオン製剤の通常量投与によるFECR試験(Fecal egg count reduction test)を行った。試験はA農場で3回(放牧3週、9週、16週目)、BおよびC農場で各1回(夏期)の計5回行い、駆虫薬投与時と投与2週後における糞便内線虫卵のEPG値から算定した虫卵減少率を基にイベルメクチン耐性の有無を判定した。その結果、線虫卵の減少率は、A農場の放牧3週、9週および16週目の試験で各々84%、74%および53%、B農場とC農場で各々98%と100%を示し、A農場において耐性の目安となる減少率(90%)を下回った。検出された線虫卵は、形態学的に牛捻転胃虫、乳頭糞線虫、Capillaria属線虫、Nematodirus属線虫、および形態による同定が困難な線虫卵(未同定線虫卵)で構成され、いずれの農場においても未同定線虫卵が全体の90%以上を占めた。そこで、虫卵培養で得た感染幼虫の遺伝子学的同定(PCR-RFLP法)に基づく未同定線虫卵の寄生種毎の減少率を解析したところ、A農場の放牧3週目の虫卵減少率はOstertagia ostertagi97%、Cooperia oncophora85%およびCooperia sp.84%、同16週ではそれぞれ100%、56%および0%を示し、放牧16週におけるイベルメクチン耐性Cooperia属線虫の寄生が確認された。これにより我が国の牛におけるイベルメクチン耐性線虫の存在が初めて明らかになった。なお、Cooperia sp.については子牛を用いた感染実験による種の同定を遂行中である。
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