2011 Fiscal Year Annual Research Report
D-アミノ酸により誘導されるアミロイド凝集機構の解明と抗アルツハイマー病薬の開発
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21590080
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
楯 直子 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (00201955)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド(Aβ) / D-アミノ酸 / 線維化 / 凝集 / Aβフラグメント |
Research Abstract |
アルツハイマー病患者の脳内の老人斑の主要構成分子であるアミロイドβペプチド(Aβ)において、近年、異性化したD-Aspが存在することが確認されている。Aβ1-42は1位、7位および23位にAspが存在し、それぞれがD-体に異性化した各種D-Aspを含有するAβが存在する。昨年度までの本研究において、各種D-Asp含有Aβの線維化・凝集体形成現象および正常型AβとD-Asp含有Aβが混在した場合の線維化・凝集体形成に関する詳細について明らかにした。今年度は23位のAspのD-体への異性化が線維化・凝集体形成を促進する現象に1位と7位のAspがそれぞれ抑制と促進という異なる影響を与えることに着目し、AβのD-Asp含有N末端フラグメントの添加が全長Aβ1-42に及ぼす影響を解析した。 実験に用いたAβのN末端フラグメントはアミノ酸7残基より成るAβ1-7および23残基より成るAβ1_23である。それぞれのフラグメント中の1位、7位、23位にD-Aspを含有するN末端Aβフラグメントをデザインし合成して実験の試料とした。各種AβのN末端フラグメントが全長のAβの線維化に与える影響について、チオフラビンTアッセイにより計測した。その結果、各種フラグメントAβ1-7は全長の正常型Aβ1-42の線維形成に影響を及ぼさなかった。一方、各種フラグメントAβ1-23は正常型Aβ1-42の線維化を促進し、高濃度においてはその促進効果が増強した。また、電子顕微鏡による凝集体の形態観察を行ったところ、フラグメントAβ1-23は正常型Aβ1-42の凝集体形成を促進することを見出した。これらの実験結果より、アルツハイマー病発症に関わるAβ凝集現象の制御において、Aβ1-23部位が重要な鍵を握っていることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Controlled structure and properties of silicate nanoparticle networks for incorporation of biosystem components2011
Author(s)
Sakai-Kato, K., Hasegawa, T., Takaoka, A., Kato, M, Toyo'oka, T., Utsunomiya-Tate, N. and Kawanishi, T
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Journal Title
Nanotechnology
Volume: 22
Pages: 1-8
Peer Reviewed
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