2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新留 徹広 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (00362575)
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Keywords | 神経幹細胞 / 分化 / ディファレンシャルディスプレイ法 / 再生医療 |
Research Abstract |
神経幹細胞は未分化状態を保持したまま増殖・継代することができる自己複製能および中枢神経系を構成するニューロンとグリアに分化することができる多分化能を併せ持つ細胞と定義されている。神経幹細胞を中枢神経系の再生医療へ応用するにあたり、神経幹細胞を目的に合わせて適切な割合でニューロンとグリアに分化させることが重要である。神経幹細胞の分化過程には増殖因子・サイトカイン等の細胞外環境因子とクロマチン修飾・転写因子群が遺伝子転写を調節する細胞内在性プログラムが複雑に相互作用していることが明らかになりつつあるが、未だに不明な点が多くその詳細な分子機構の解明が急がれる。本研究では神経幹細胞からニューロンへの分化の割合が培養日数に制御されている現象を見出した。さらに、ディファレンシャルディスプレイ法を用いてIAP2を同定した。レトロウイルスによるIAP2強制発現が13 DIV神経幹細胞のニューロンへ分化する割合を増加させたことから、13 DIV神経幹細胞におけるIAP2 mRNAの高発現量はインダイレクトな結果ではなくIAP2自体が神経幹細胞からニューロンへの分化を促進する因子であることが示唆された。なお、IAP2がアストロサイトへの分化抑制機能を合わせ持つか否かについては検討中である。また、20 DIV神経幹細胞へのIAP2強制発現はニューロンへの分化能に影響を与えなかったことより、20 DIV神経幹細胞ではIAP2を介したニューロン分化促進シグナルを減弱させる強いニューロンへの分化抑制機構やアストサイトへの分化促進機構の存在が推測される。本研究は神経幹細胞からニューロンへの分化過程においてIAP2が関与する新たな分化制御機構の存在を示すものである。今後、その詳細な分子メカニズムの解明により、神経幹細胞を用いた中枢神経系における再生医療の発展に貢献することが期待できる。
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Research Products
(1 results)