2009 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質形成におけるGタンパク質共役受容体シグナルの機能抗体を用いた解析
Project/Area Number |
21590094
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 憲一 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (90212232)
|
Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 薬学 |
Research Abstract |
大脳皮質組織培養による神経前駆細胞アッセイシステムを用いて、神経前駆細胞のradial migrationにおけるGPCRの機能を解析した。われわれはすでに培養神経前駆細胞を用いてエンドセリンがGqシグナルを介して細胞遊走を抑制することを報告しているが、細胞遊走のどの過程に作用して遊走を阻害しているのか明らかになっていない。本研究において、培養神経前駆細胞および大脳皮質組織培養によるタイムラプス顕微鏡を用いた解析により、神経前駆細胞の細胞同士の接着性を高めることで遊走を阻害していることが示唆された。また、リガンド未知であるGPR56は、機能抗体によりG12/13を介して同様に遊走を阻害するが、その機構も検討中である。一方、Gsシグナルは神経前駆細胞の遊走を促進することを見出した。Gタンパク質サイクルを調節する因子として、Ric-8が報告されている。Ric-8AはGqやGiと相互作用し、グアニンヌクレオチド交換因子として作用することが報告されているが、Gsと相互作用するRic-8Bの機能はまだ不明であった。われわれは、Ric-8BはRic-8Aとは異なり、Gsと相互作用することでプロテオソーム系におけるGsの分解を阻害する働きがあることを新たに見出し、Gsシグナルの調節に関与することを報告した。また、Gsシグナルからどのような機構で神経前駆細胞の遊走を促進するかを検討するため、微小管結合タンパク質Doublecortinに注目して解析を行った。その結果、Gs、cAMP, PKAの経路によりDoublecortinがリン酸化され、遊走を促進することが示唆された。また、Gs、Gq、G12/13と共役し、神経前駆細胞の遊走を制御する可能性のあるGPCRに関して、発現の確認、また機能を解析するとともに、抗体作製を遂行中である。
|
Research Products
(5 results)