2011 Fiscal Year Annual Research Report
2重安全機構を採用した癌指向性の細胞内崩壊性リポソームによる癌治療技術の開発
Project/Area Number |
21590115
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長宗 秀明 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40189163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友安 俊文 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20323404)
田端 厚之 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (10432767)
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Keywords | 癌治療法 / DDS / 細菌毒素 |
Research Abstract |
昨年度までに作成したDDSツール2種類をBALB/cマウスに反復投与した結果、抗体誘導性がより低かったキメラ毒素(細胞内のSS結合還元環境において膜孔を形成しリポソーム崩壊性を示す安全機構を持つインターメディリシン/スイリシン・キメラSS変異体とS.aureusプロテインAのIgG結合ドメインZを融合させたキメラ毒素:Z-ILY/SLY(ss))を選択し、これに癌胎児性抗原(CEA)に対するIgG抗体を連結させ、その複合体を抗癌剤5-フルオロウラシル封入リポソームに結合させたドラッグデリバリーシステム(抗CEA-DDS)を調製して、CEA陽性ヒト肝癌細胞HepG2を移植したBALB/cヌードマウスでの癌抑制効果につき検討を行った。HepG2担癌ヌードマウスに抗CEA-DDSを1ヶ月の間隔で2回腹腔内投与して経緯を観察した結果、癌移植後100日以降の生存率がDDSを投与しない場合あるいは抗CEA抗体を連結させていないDDSを投与した場合より、各々60%あるいは40%もの改善が見られた。またZ-ILY/SLY(ss)にIgGを結合した状態では、完全ではないもののIgGによるマスキング効果により誘導された抗キメラ毒素抗体の反応性が減少することも分かった。従って、より抗原性の低減化に向けての改善は必要だが、1つ目の安全機構を施した標的化毒素のみを利用した抗CEA-DDSでも癌抑制の有効性が確認された。さらに細胞膜結合部位の欠損による2つ目の安全機構を施した細胞障害毒素の緑膿菌外毒素A(ΔBD-ETA)を併用するDDSを開発するために、ΔBD-ETAを常温に近い温度で安定にリポソームに封入する手法として、ジャイアントリポソーム形成後の安定化処理、コレステロール付加、リサイズ処理を行う方法を開発した。このΔBD-ETA封入リポソームを併用したDDSの抗癌効果を継続して検討している。
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Research Products
(2 results)