2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の消化管内溶解挙動及び初回通過効果の解析とその経口吸収挙動予測への応用
Project/Area Number |
21590158
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 聰城郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特命教授 (10025710)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 和孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60284080)
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30291470)
|
Keywords | 経口吸収 / 難溶解性薬物 / 自己乳化型マイクロエマルション製剤 / 胆汁 / 膵リパーゼ / 放出 / グリセオフルビン / ムチン層 |
Research Abstract |
前年度までに、難溶解性薬物グリセオフルビンの経口吸収挙動を自己乳化型マイクロエマルション製剤(SMEDDS)化することで改善することに成功した。本年度は、SMEDDS製剤経口投与後に消化管内で生成するマイクロエマルションからの放出および吸収機構について検討を試みた。In situ closed loop法(loop法)により、生成したマイクロエマルションからのグリセオフルビンの吸収に及ぼす、胆汁、及び膵液の影響を検討した。その結果、膵液を含有した胆汁を添加した場合、グリセオフルビンの吸収は有意に亢進することが明らかとなった。また胆汁のみを添加した場合においても、吸収に増加傾向が見られた。そこで、グリセオフルビンのマイクロエマルションからの放出挙動についてin vitro透析法により検討したところ、膵液含有胆汁を添加した場合において有意に高い放出速度定数が得られたが、in vivoにおける放出挙動を定量的に描写できるものではなかった。そこで次に、マイクロエマルションからのグリセオフルビンの吸収は放出速度により律速されているとの仮定の基、loop法による吸収実験により、膵液の主成分である膵リパーゼの影響を検討した。その結果、膵液含有胆汁を用いた場合と同様の結果が得られ、膵ジパーゼによりグリセオフルビシの放出が促進されているものと推察された。これらの結果は、マイクロエマルションからのグリセオフルビンの放出に膵液、胆汁成分が関与していることを示すものであったが、同時に、他の何らかの要因の関与を示唆するものであった。そこで、小腸表面のムチン層への物理的な接触が及ぼす影響を検討すべく、N・アセチル・L-システインを用いてムチン層除去の影響を検討したが、loop法による評価において、グリセオフルビンの吸収に有意な変動は認められなかった。
|